歯列矯正で顎が変化する?しゃくれや顎関節症の悩みを解消するために知っておきたいこと

歯列矯正で顎が変化する?しゃくれや顎関節症の悩みを解消するために知っておきたいこと

「私は顎がしゃくれているからブサイクだ」といったコンプレックスを抱く方は、たくさん存在するでしょう。そういう人は「矯正が自身の顔立ちに変化を起こす最終手段」として目に映っているのかも知れません。

確かに日本における歯列矯正の位置付けは「美容目的の治療」となっていて、ルックスを変化させることを目的に治療を受ける人が多くいます。

施術する側も、美容業界の用語で良い顔立ちの条件とされる「Eライン」と呼ばれる考え方を導入して治療に当たっているクリニックもあります。

私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。歯並びを治すことによって、きれいな歯並びを手に入れるだけでなく、顔立ちや口元の雰囲気まで改善できる場合があります。もちろん、歯列矯正だけでは、ご自身の顔の骨そのものの形や高さを変えることはありません。しかし、歯列矯正によって、飛び出した口元が自然な位置までひっこみ、口元と鼻の位置関係のバランスが改善することで、横顔のイメージがとてもきれいに変わることはあります。

果たして歯列矯正には、顎に変化を起こし、Eラインの考えに基づいた美を供給する能力があるのでしょうか。今回はそのあたりの問題について考えてみましょう。

歯列矯正で顎が変化するケースとは

当院診療風景

「歯列矯正をしたら顎が変化して顔立ちが整った」「気になっていたしゃくれが治った」と感じる患者さんは多いと言えるでしょう。しかし、実際のところは、歯の矯正で骨格が変わることはありません。

ではなぜそのような感想が出てくるのかというと、歯列矯正では前方へと突き出している状態の歯を奥へと収めることにより、あたかも顎の骨格が変わったような印象を与えられるからです。

そのことから、顔貌を変えられるとっておきの手段として、矯正を検討している方もたくさん存在しています。どのような症状に対して、歯列矯正が効果的なのでしょうか。

上顎前突(出っ歯)

上の前歯が前方へと出ている状態を「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と言い、いわゆる「出っ歯」と呼ばれる症状がこれに当てはまります。

上の歯列を奥へと引っ込めてあげることにより、バランスの良い顔立ちを獲得できるでしょう。その際、症状の重い患者さんは、歯を大きく動かすスペースが必要になる為、抜歯をするケースもあります。

口元の輪郭がスッキリとして、歯列矯正によって顎が変化してEラインが美しくなったと喜ばれるケースが多いのですが、前述のとおり骨格を変える治療をした訳ではないことを覚えておきましょう。

関連記事→ 歯列矯正で出っ歯(口ゴボ)を綺麗に!治さないと起こりうるリスクがあるって本当?

下顎前突(受け口)

先ほどの例とは逆で、下の歯が前方へと突き出している症状を「下顎前突(かがくぜんとつ)」と言います。いわゆる「受け口」「しゃくれ」と呼ばれるもので、下の方が上の前歯より前に出てしまっています。

この症状は、成長期に下の顎が発達し過ぎることで起こります。それに起因して噛み合わせが悪い状態を指す「不正咬合(ふせいこうごう)」になるケースもあり、症状が重い場合は外科手術が行われるでしょう。

しかし、場合によっては、歯列を治して噛み合わせを正常にすることで、口元の見た目を改善させることが可能です。その際、歯を大きく動かさなくてはならないと判断された場合は、抜歯を行うでしょう。

顎が変化すると顔も変わる?

当院受付風景

「顎の形が悪いからキレイになれない」と嘆いている方もたくさんいることでしょう。実際のところ、そういった方が自身の見た目に変化を起こそうと歯列矯正を行うケースも多いのです。

顎が出ていたり引っ込んでいたりすることで、顔の印象はかなり変化します。そして、乱れた歯列を正す歯列矯正には、副次的に顔立ちの変化を生み出す力があるのです。

ここでは具体的にどのような症状が治ったり、どういった変化が起こるのかについて紹介しましょう。

受け口(しゃくれ)が治る

例えば「受け口」の症状を「しゃくれ」と呼んで、笑いの対象とする風潮が日本には根強く残っています。好きで受け口になった訳でもないのに、そのような嘲笑に悩まされることがあるかもしれません。

しゃくれてしまった顎の骨格の形を歯列矯正によって変化させることはできませんが、上下のかみ合わせを改善することは可能です。下顎の歯列を奥へと引っ込める作業を通じて、正しい噛み合わせを取り戻して問題を解決します。

下あごの大きさは変わりませんが、今までからかわれることに悩んでいた方も、矯正治療で口元の雰囲気が改善することにより、馬鹿にされにくくなり、自分の姿に自信を持つことが出来るようになる可能性があるでしょう。

関連記事→ 受け口の矯正は大人でもできる?悩みが解決する矯正の特徴・種類を徹底解説

Eラインが変化する

顔を真横から見て、鼻の先端と下顎の先を直線で結んだ線のことを「Eライン」と呼びます。このラインの内側に上下の唇が収まると、バランスの良い顔立ちになると言われているのです。

欧米で生まれた概念ですので、西洋の人ほど鼻の高さや下顎の先端が突出していない日本人に対して、この概念をそのまま当てはめるのは無理があるでしょう。

その為、日本人に対してこの考え方を適用するにあたっては、Eライン上に唇が掛かるくらいでも美しい顔として認められています。

そして、歯列矯正により理想的なEラインを獲得できるケースは多いと言えるでしょう。もちろん例外もあって、顎の変形具合が重度の場合には矯正だけでは不可能です。

歯列矯正の治療の際には、自分の理想とするEラインについて歯科医に相談してみるといいでしょう。

関連記事→ 歯列矯正でEラインがきれいになる?美しくなるために知っておきたいEラインとは

歯列矯正で顎関節症が治るって本当?

顎関節症とは、噛むたびに骨がポキポキと鳴る症状から、痛みで口を開けることができないケースまでを含めた症状のことです。「関節が痛むので歯を矯正したい」と、矯正歯科にやってくるケースは非常に多いです。

果たして、歯列矯正によって関節が変化して症状が治るということがあり得るのでしょうか。

歯列矯正で顎関節症は治るのか

歯の噛み合わせが悪いことと関節の不具合には直接的な因果関係がないと、現在の医学では考えられています。つまり、噛み合わせの悪さは要因の一つとして考えられても、それが顎関節症を発症する全ての原因ではないということです。

噛み合わせ以外に、食いしばりや歯ぎしりをしたり、どちらか一方で噛む癖があったり頬杖をつくなどの習慣によるもの、さらにはストレスなどの心理的な側面によるものなど、その原因は複合的になっています。

歯を矯正することは、数ある顎関節症の複合的要因に対して、あくまで歯並びや噛み合わせを正常にすることしか治療の範囲に入ってきません。

ですので「関節に異常を感じるので矯正したい」という考え方は、間違っていると言わざるを得ないでしょう。歯科医の立場からすれば「場合によっては治るケースもある」と言うにとどめておかねばなりません。

矯正でむしろ顎関節症が悪化するケースも?

歯列を矯正することを専門とする矯正歯科以外にも、一般歯科で矯正を取り扱っている歯科が存在しています。いわば専門外の医師が矯正をするケースがあるのです。

その結果、噛み合わせが改善するどころかむしろ悪化してしまい、そのことが引き金となって顎関節症が悪化する場合も十分に考えられます。

そのことから歯を矯正する際には、専門の矯正歯科を訪ねることが大事であるだと覚えておきましょう。

歯列矯正だけでは治せない顎の問題

当院診療室の1室

歯列矯正は乱れた歯列を整える治療法です。そして歯列の乱れで噛み合わせが狂っている場合、その影響は顔の見た目の形にまで及ぶことも。そのことはつまり、歯列不正が原因で見た目が悪い場合、歯列矯正で見た目の顔の形を幾分良い方向に変化させることができることを意味するでしょう。

ただし、気に入らない顎や顔の見た目の形になっている原因が、歯列ではなく骨格の問題である場合、歯列矯正だけで解決することは残念ながら出来ません。そういったケースで顎を変化させるには、外科手術を必要とする場合が多いです。

この項では、代表的な歯列矯正の方法を紹介した上で、矯正だけでは解決できないケースについて詳しく紹介しましょう。

歯列矯正の治療方法

最もオーソドックスな歯列矯正の方法に「ワイヤー矯正」と呼ばれるものがあります。これはそれぞれの歯に「ブラケット」と呼ばれる部品を接着し、そこにワイヤーを通して歯に力を加えて歯列を正す治療法です。

一度装置を取り付けると、治療が完了するまで取り外すことが出来ません。また、金属製のギラギラとした鈍い光を放つ大掛かりな装置は、嫌でも目立ってしまいます。

そのようなデメリットを解消すべく、最近では歯と同色にした装置があったり、歯の裏側に部品の類を取り付けることで目立たなくする「裏側矯正」などの手法が存在しています。

また、取り外せないことを嫌がる人には、食事や歯磨きの時だけ取り外すことが許されている「マウスピース矯正」があります。これは、段階的にマウスピースを取り替えることで理想の歯列へと持っていく治療法です。

外科矯正が必要になる場合がある

上下の噛み合わせが前後・左右などにズレて骨格が歪んだ症状のことを「顎変形症」と言います。また、上下の歯を噛み合わせても前歯が開いてしまうことを「開咬(オープンバイト)」と言います。

そして前述の「出っ歯」や「受け口」の状態がひどく、以上挙げてきた症状に加えて顎関節症を併発している場合には、矯正治療に加えて外科的な施術が必要になるでしょう。

外科手術は歯列を治す為ではなく、骨格を治すために行われるものなので、施術によって症状の完治が期待できます。その手術に前後して矯正が行われることを覚えておきましょう。

 


ユニゾン矯正歯科銀座6丁目なら「横顔のバランスと歯列矯正の効果」について相談可能!

このように、歯並びを治すことによって、顔立ちや横顔の雰囲気まで改善できる場合があります。

一方、顔貌と歯並びを根本的に治すために、矯正治療だけではなく、外科手術が必要な症例もあります。

歯列矯正によって口元や顔の見た目の雰囲気を改善できるのかどうか、知ることから始めませんか。

ユニゾン矯正歯科では、丁寧なカウンセリングを行ったうえで説明いたします。

横顔における上顎・下顎の位置関係や歯の傾きなどを確認し、同じ年代・性別の方々と比較してご自身のどこに問題点があるのかを説明いたします。外科手術が必要な症例なのか、それとも外科手術をしなくても、歯列矯正だけで改善可能なのかどうか、を説明いたします。


まとめ

以上、歯列矯正で顎が変化するケースについて紹介し、しゃくれを始めとする顔貌の問題や関節の違和感と矯正の関係について解説しました。また、外科手術を伴う症例についても説明しました。

本文中でも述べましたが、歯列矯正で顔貌を変化させて理想的なEラインを獲得することは可能です。また、外科矯正が必要なのかといった判断は、矯正歯科専門の医院で診断を受けることでハッキリするでしょう。

そのことから、自身のルックスに悩んでいたり顎関節の不調に悩まされている方は、まずは状況を知る為に専門のクリニックに足を運ぶことをお勧めします。

当院でも、口元周りのことで問題を抱えている方の相談をお受けしていますので、ぜひ一度お越しください。

                                  

                     

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矯正治療を受ける際に、多くの方が苦手意識をもつ歯型取り。「おえっ」となる感覚が嫌で、矯正治療を敬遠している方も多いのではないでしょうか。

本記事では矯正治療における歯型取りに焦点を当て、必要性、気持ち悪さを感じる理由、気持ち悪さを緩和するコツについて解説していきます。最後に歯型取りの最新技術「3D口腔内スキャナー」にも触れますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、歯型取りは歯科専門用語で「印象採得」といいますが、ここでは一般的で親しみやすい「歯型取り」で進めます。

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