歯茎ごと前に出てる口元が、抜歯矯正で治せるケースもある。歯列矯正や抜歯や顎の外科手術について
「私は歯茎ごと前に出てるから矯正では治らない」と考えている人の中には、矯正治療で自身の歯列を綺麗にできる可能性があるにも関わらず、諦めてしまっているかもしれません。
確かに歯茎ごと歯が前に出ている場合、歯を収める土台となる歯槽骨は顎の形と密接な関係があるので骨格の問題となってしまい、歯列矯正ではどうにもならないと感じるかも知れません。
しかし、矯正治療のメカニズムを正しく理解すると「ひょっとしたら私の場合は矯正で治るかも」と思えるケースがあるのです。どういうことか詳しく見ていきましょう。
歯茎ごと前に出てる人の特徴

歯茎ごと前に出てる人で「矯正によって何とかしたい」と考えている人も、たくさんいることでしょう。ここではまず、歯茎ごと前に出てる人の特徴と症状について紹介します。
出っ歯(上顎前突)
上顎の歯列が前方へと出ている状態を「出っ歯」と言います。出っ歯になる原因として、上顎の骨が大きく成長し過ぎてしまう問題や、幼い頃からの指しゃぶりなどの癖によって引き起こされるでしょう。
口元全体が前方へと出ている印象を与える見た目に悩む人も。そして、口を閉じることが難しいので自然と口呼吸になりがちです。その結果、口内の唾液が乾きやすくなるため、雑菌が溜まりやすくなります。
関連記事→出っ歯の矯正治療にかかる費用や期間・矯正方法とは!治さないと起こりうるリスクがあるって本当?
ガミースマイル
笑顔になった時に歯茎が強調される状態を「ガミースマイル」と言います。先に挙げた出っ歯でも引き起こされる他、噛み合わせが深い「ディープバイト」や歯の生えている位置が低いケースも症状の原因になります。
また、骨格や歯並びの原因とは別に、筋肉の発達によって上唇がめくれやすくなっている場合でもガミースマイルになることがあります。審美的な面で悩む人が多いだけなく、口呼吸になりがちで口内環境を乱す要因にもなります。
関連記事→ガミースマイルってなに?ガミースマイルになってしまう原因や適切な治療方法とは
下顎の後退
下顎が後ろへと引っ込んでいることにより、相対的に上顎の歯列が歯茎ごと前に出てる状態になってしまう場合があります。下顎が理想の位置にないため、横顔のバランスが良くありません。
ほかのデメリットとしては上下の歯の噛み合わせが悪いことが挙げられます。
この横顔のルックスを何とかしたいと考えている人のなかには、下顎の先端に出っ張りを作るために形成外科で治療を受ける場合もあります。その後、噛み合わせを良くするために矯正治療を行うでしょう。
「矯正」で治療できるケースと「外科手術」が必要なケースとは?

歯列矯正は、骨格そのものを変えることの出来ない治療法です。その点から歯茎ごと前に出てるケースに対し、果たして矯正が有効的な治療法と言えるのか疑問に思っている人もいることでしょう。
この項では、歯茎ごと前に出てる症状において矯正で治療できる場合と、外科手術が必要なケースについて紹介します。
歯が斜めに生えているなら「矯正」
出っ歯でも、単に前歯が前方へと倒れて生えているだけのケースは矯正で治療することができます。歯を動かす治療を得意とする矯正で、その角度を適切なものにすると良いでしょう。
治療法としては、斜めに生えている歯を適切な角度に治すために、ワイヤーなどでその歯に微弱な力を加えて徐々に歯を動かすことになります。
歯茎が前に出ている場合でも「矯正」は可能
歯に角度がついているのではなく歯茎ごと前に出てるケースは、状態によっては矯正で治療できるケースもあります。矯正で前歯の傾斜や位置を後方に下げることにより、口元が飛び出した感じを改善できることがあるのです。抜歯をして矯正をする場合が多いです。
ただし、外科手術が必要になる場合もあるので、矯正歯科や口腔外科で事前にしっかりと検査をしてもらいましょう。まずは自身の歯茎ごと歯が前に出ている症状は矯正で治るのか、カウンセリングの場で確認することが大切です。
上顎の骨格の問題は「外科手術」が必要
上顎の骨格自体が前へと出ている場合、外科手術の必要があるケースが考えられます。前から4番目の歯である「第一小臼歯」を抜歯し、その土台となっている部分の骨をカットして前歯を後方へずらします。
このような治療法は「上顎前歯部歯槽骨骨切り術」と呼ばれていて、抜歯することで余白が出来た歯槽骨を鼻下にかけて大きく切除し、前歯を下げるスペースを作り出すのです。専門の医療機関を受診していただくことになるでしょう。
歯茎ごと前に出ているケースの歯列矯正

歯茎ごと前に出てる患者さんでも、歯が斜めに生えている場合などは矯正で治療できることがあります。
歯列矯正には、どういった矯正法があるのでしょうか。ここでは、それぞれの手法について紹介しましょう。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯に「ブラケット」と呼ばれる部品を接着し、そこにワイヤーを通して締め付ける力を利用して矯正する方法です。古くからあり、最も成熟した治療法とされています。
ただし、装置を付けると治療が終わるまで取り外すことが出来ません。また、装置が目立って治療していることがバレることを嫌う人が多いので、近年ではなるべく装置が目立ちにくいように工夫した治療法も用意されています。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、およそ10日に一回のペースで段階的にマウスピースを取り替えていき、最終的に目標とする歯列にまで歯を動かしていく手法です。ワイヤー矯正よりも新しい治療法で、矯正をしていることを知られたくない人に人気のある治療法です。
マウスピースは透明で目立ちにくく、樹脂製なので金属アレルギーを持つ人でも安心して使えます。また、食事や歯磨きの際には取り外すことが出来るので、ワイヤー矯正に比べて歯磨きや食事はしやすいでしょう。ただし、自由に取り外せる反面、装着時間を自己管理できない人は1日20時間以上装着しておくというルールを守れず、歯を動かす治療の成果が得られずに中断してしまうこともあり注意が必要です。
アンカースクリュー矯正
歯茎内部の歯槽骨に「アンカースクリュー」と呼ばれるネジ式の突起物を装着して、治療が行われる場合があります。これはワイヤー矯正と併用して行われるもので、効率よく歯を動かせる技術です。
ワイヤー矯正は動かしたい歯に対して力を掛ける時に、動かす必要のない歯との相対的な力関係を利用して矯正するため、歯列全体が動いてしまいます。
それに比べてアンカースクリューは、歯茎に埋め込まれているので絶対的な力の固定源になってくれます。アンカースクリューにワイヤーを掛けて目的の歯とつなげば、働きかけたい歯だけを動かすことが出来るのです。
抜歯矯正
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方において、抜歯が必要と判断されることがあります。その際に抜く歯は、主に前から4番目にある「第一小臼歯」と呼ばれる歯になることが多いでしょう。
第一小臼歯を抜くことで、それより前にある歯列全体を後ろへと下げるスペースが生まれます。抜歯をするのは、歯列を大きく動かす必要がある場合に限られていることを覚えておきましょう。
信頼できる矯正歯科医の選び方

歯列矯正の専門家は「矯正歯科医」になりますが、専門的な知識を習得していない「一般歯科」でも矯正を行なっているので注意が必要です。
ここでは、歯茎ごと前に出てる症状を治すのに信頼できる矯正歯科医の選び方について考えてみましょう。
検査が充実している
歯型の採取に始まり、口腔内や顔貌の写真撮影をした上で、歯根の長さが分かる「パノラマレントゲン」や骨格が分かる「セファロレントゲン」、さらには頭部CTなど、検査が充実している医院を選びましょう。
これらの検査は歯列矯正を進める上で、矯正歯科医が把握しておきたい情報が詰まっています。検査項目が充実していない医院では、専門的な知識や設備に欠けていたり、医師の知識や経験、技量による差が生まれやすいと考えられるので注意が必要です。
日本矯正歯科学会の認定医である
「矯正歯科」の看板を掲げているクリニックのなかから「ここだ」と思える医院を選び出すのは難しいかも知れません。そういった場合は「日本矯正歯科学会」が発行している「認定医」などの資格に注目しましょう。
この「日本矯正歯科学会」は矯正歯科医の集まりで組織されていて、高度な技術を要する症例をこなし、その技術力が認められた人だけが「認定医」として認められます。クリニック選びの参考にしましょう。
説明をきちんとしてくれる
確かな技術をもつ判断基準になる「認定医」の資格保有者はその数が少なく、全国でもおよそ3,000人しか存在していません。そのため、通えるエリア内に認定医の資格を持つクリニックが存在していない場合もあるでしょう。
その時は、初回のカウンセリングで医師を見極めることが大切になります。自分の歯列のことで疑問に思っていることを質問してみましょう。丁寧な説明で対応してくれる医師を選ぶと良いでしょう。
まとめ
以上、歯茎ごと前に出てる人の特徴と矯正で治るケースについて触れ、治療法の詳細と矯正歯科医の選び方について解説しました。
歯茎ごと前に出てる状態だとしても、矯正での治療を諦める必要はなく、カウンセリングや専門医に相談することで自分の歯列に合った治療法が見つかります。
当院では認定医の資格を持つ矯正歯科医が、患者さん一人ひとりの悩みに向き合い、日々の業務に励んでいます。歯列の問題で気になることがある人は、ぜひ一度当院まで相談にお越しください。
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