歯列矯正の費用ってどのくらい掛かるの?方法と装置によって異なる費用の相場観を紹介

歯列矯正の費用ってどのくらい掛かるの?方法と装置によって異なる費用の相場観を紹介

「歯並びを綺麗にして笑顔の似合う人になりたい」「顔の輪郭を整えてこれまでのコンプレックスを解消したい」といったように、美しさを求めて歯列矯正をしたいと考える大人の女性が増えています。

ズバリ結論から述べますと、歯列矯正にかかる費用は決して安くありません。ただし、お口の中の状態はそれぞれの患者さんで異なる為、歯列を整えるにあたって用いる手法が異なってきます。

ですから、自身の歯の状態に適した治療法や、追加で使用したい材料、オプション治療方法との組み合わせによって、費用は異なってきます。

私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。歯並びを治すことによって、きれいな歯並びを手に入れるだけでなく、顔立ちや口元の雰囲気まで改善できる場合があります。初回のカウンセリングで患者さんと接する際には、本心で話してもらえるように常に意識しています。どこが気になっているのかという話から始まり、なぜ矯正をしようと思ったのか、なぜ当院に来ようと思ったのか、矯正をしてどうなりたいのか、毎月の通院はストレスにならないのか、費用はどれくらいを考えているのか、それはどうやって支払いたいかということまで、本音の部分を話していただき、支払いのしやすさにも考慮した、患者さんに寄り添った治療を心がけています。

今回は「私の歯並びだと金額はどれくらいかな?」と考えている人に向けて、費用の相場観を紹介したいと思います。

歯列矯正の種類によって費用は異なる?

歯列矯正の装置にはいくつかの種類があり、治療方法によって用いるものが異なってきます。まずは歯列矯正の方法や装置の種類によって、かかる費用も変わってくることを覚えておきましょう。

ここでは、歯列矯正にはどのような治療法があるのかを紹介しつつ、それぞれの費用を表にまとめてみます。

部分矯正(ワイヤー矯正)

気になる部分だけを矯正する方法で、それ以外のところはあまり問題がない場合に用いる方法です。その特性上、全体の歯並びを整えたり、噛み合わせを改善することは望めません。

部分矯正(マウスピース型矯正装置)

マウスピースで気になる箇所だけ矯正する方法です。これも特定の歯だけを動かすので、全体の歯並びを良くすることはできません。

唇側からの矯正装置

ブラケットとよばれるパーツを歯の表面に装着し、そこにワイヤーを通して歯に力をかける方法です。最もオーソドックスな手法で、最近では目立たないように配慮したものもあります。

マウスピース型矯正装置

最終的には理想の歯並びになるように、マウスピースを使って少しずつ歯に力を加え、段階的に矯正していく方法です。取り外しができ、食事や歯磨きが楽に行えます。

舌側矯正

唇側からの矯正装置と原理は同じですが、ブラケットを歯の内側、つまり舌側に装着するので装置が目立ちません。ただし、調整が難しいというデメリットもあります。

混合矯正(上顎前歯部のみ舌側等)

特に目立つ箇所である前歯の部分のみ裏側にブラケットを装着しつつ、その他の歯には表側に装着する手法です。前歯の表側に装置をつけたくないが、かといってすべての歯の舌側に装置をつけることには馴染めない可能性があるという方にお勧めできます。

歯科矯正用アンカースクリュー

ねじ式になったアンカーを歯茎内の骨に埋め込んで、そこを固定源として歯を動かす方法です。施術は特別難しいものでもなく、アンカーの安定性は良好なので治療の確実性が向上します。

保定装置(リテーナー)

矯正が終わった後に、綺麗な歯並びのまま安定させるための期間を保定期間といいます。保定装置はリテーナーともいい、固定式と取り外し式に大別できます。

治療法金額
部分矯正(ワイヤー矯正)¥220,000~¥858,000
部分矯正(マウスピース型矯正装置)¥462,000~¥726,000
唇側からの矯正装置¥880,000~¥1,100,000
マウスピース型矯正装置¥770,000~¥990,000
舌側矯正¥1,320,000~¥1,650,000
混合矯正(上顎前歯部のみ舌側等)¥1,100,000~¥1,320,000
歯科矯正用アンカースクリュー¥27,500
保定装置(リテーナー)¥27,500

治療費以外に必要となる費用もある

歯列矯正の方法・装置別に費用を見てきましたが、それとは別にかかってくる費用があります。どういったものか紹介した上で金額を表にまとめてみます。

相談料(カウンセリング)

患者さんのお口の中の状態をチェックし、どのような処置が最適な方法か相談して決めていきます。医師と意見を交換できる場なので、自身の悩みを打ち明けてみましょう。

セカンドオピニオン

他のクリニックで歯列矯正を受けている人のなかには「この治療法で大丈夫かな?」と悩んでいる方もいるでしょう。そういった方にはセカンドオピニオンで歯科医師の観点から、患者さんの悩みにお応えします。

歯科矯正検査料・歯科矯正診断料

矯正を行なっている期間は、うまく治療が進んでいるか確認するために1~2ヶ月に一回の頻度で通院しなくてはなりません。その時に装置の調整やお口の中の状態を診察する費用がかかります。

治療費以外の費用金額
相談料(カウンセリング)¥0~¥6,600
セカンドオピニオン¥22,000
歯科矯正検査料・歯科矯正診断料各¥33,000

歯列矯正の費用はどのように支払っていくの?

歯列矯正治療にかかる費用はどのように支払っていくのかご存知ですか?大きく分けて5通りの支払い方法に分かれますので、それぞれの支払い方法について紹介しましょう。

関連記事→ 歯列矯正はローンで払える?高額費用を分割して無理なく治療するために!

全額一括の支払い

施術を受ける前にすべての費用を一括で支払う方式になります。装置代はもちろんのこと、通院のたびにかかる費用や保定期間の装置代や治療費も支払うので、気楽に通えるでしょう。

また、総額を提示してくれるので、矯正にどれくらいの金額を使ったのかを把握しやすく「そんなにお金がかかるの?」と、後になって驚かされるような問題を避けることができます。

なお、当初の予定よりも治療期間が伸びてしまう場合がありますが、事前に一括払いしているので通院費などを新たに支払う必要はありません。

ただし、歯列矯正中にできた虫歯を治療するなど、矯正以外の問題への処置や、治療完結後のメンテナンス代などは別途必要になる場合があります。それらは各クリニックで異なるので、事前に確認しましょう。

治療を受けるたびに支払う「都度払い」

一回ごとの施術でかかった費用を毎回支払っていくのが都度払いです。例えば、矯正装置を装着した日には、装置代と調整費を支払うことになります。

治療費が高額すぎて一度に全額支払えない患者さんもいることでしょう。そういった方でもこの方式ならば、受けた治療の分だけ精算するので安心です。

ただ、デメリットがあることも忘れてはいけません。仮に予定していた期間よりも治療が長引いた場合、その費用を支払っていかなくてはなりません。

「気付いたらすごい金額がかかっていた」といったことにならないように、事前に相談して総額でどれくらいになるのか把握しておきましょう。

便利なデンタルローンを用いる

現時点で金銭的な余裕がないからといって、歯列矯正を諦める必要はありません。「デンタルローン」と呼ばれる歯科治療に特化したローン契約を結べば良いでしょう。

一般的なカードローンよりも低金利なのが特徴で、契約時に支払い回数を決定します。つまり、自身の支払い能力に応じた金額を返済していけるようになっているのです。

もちろん利用するには信販会社の審査をクリアする必要があることを覚えておきましょう。

銀行が用意している自由ローンも見逃せない

銀行や信用金庫が用意する「自由ローン」と呼ばれる契約を結ぶのも一つの手段です。様々な支払いに使えるローンを歯の治療費にするわけです。

しかし、多目的に使えるローンであるため「歯科で治療を受けるための治療費」であるという資料を自身で作成・提出し、審査に通らなくてはなりません。

カードでの支払い

一般的なクリニックでは、カードを使っての支払いにも対応しているところがほとんどです。一括払いでも分割払いでもお好きな方法を選択できるでしょう。

「ここで治療を受けたい」と感じたクリニックで、自身が所持しているカードが使えるかどうか確認する必要があることを覚えておきましょう。

医療費控除が使えるケースもある

税込みで年間10万円を超える金額が医療費にかかった場合、確定申告をすることで医療費控除を受けることができ、納めた税金の一部が返ってくる可能性があります。

ただし「歯並びを綺麗にしたい」「歯列矯正することで顔の輪郭をスッキリさせたい」といった美しさを追求する施術は、控除の対象にはなりません。

その一方で「噛み合わせが悪くて日常生活に不便を感じるため矯正したい」といった、機能を回復するための治療は控除の対象となります。

歯列矯正は保険適用されるの?

歯列矯正にかかってくる費用においては、基本的には全額自己負担となってしまいます。

歯列矯正は不具合を感じている症状を治すものではなく「見た目の美しさを追求するためのもの」という位置付けだからです。

ただし、厚労省が定める規定に当てはまる歯列矯正には公的医療保険が適応される場合があります。なぜなら、「病気」とみなされている症状を治療する行為だと認められているからです。

保険が適用される症状の例

主に先天性の疾患ですが、「厚生労働大臣が定める疾患」というリストが用意されていて、そこに記載された噛み合わせの機能が不良であることに対する矯正治療には保険が適用されます。

また、顎変形症の手術前後に行う治療に対しても保険が使えます。ただし、顎離断などの手術を必要とする場合に限られるので注意が必要です。

まとめ

以上、歯列矯正の治療法にはたくさんの種類があり、それぞれの手法や使う装置によって費用が変わってくることを紹介しました。

また、支払い方法にもたくさんの選択肢があり、自身に最適なものを選べることが分かってもらえたかと思います。

基本的に自由診療の扱いになりますから、保険が適用されず、すべて自己負担となってしまうのが現状なので、決して安くはありません。

まずはカウンセリングで、自分の歯並びは歯列矯正の費用がどれくらいかかるのかを相談してみてもいいでしょう。

                           

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