叢生の矯正とは?原因と放置するデメリットや矯正治療法について紹介

叢生の矯正とは?原因と放置するデメリットや矯正治療法について紹介

「歯並びが不揃いなのが気になるから、治したい」と考えている人は、見た目や機能性の問題を感じている場合が多いでしょう。

私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。明らかに治療が必要な、日常生活や対人関係に支障をきたす歯並びや咬み合わせをお持ちの方にとっては矯正歯科治療をすることには様々なメリットがあります。見た目の印象がより良くなるだけではなく、口腔内の環境や体全体にも良い影響があると考えられます。

不揃いな歯並びをした症状は「叢生(そうせい)」と呼ばれ、矯正治療の対象になっています。叢生になってしまう原因や放置するデメリットについて説明し、矯正の治療方法について詳しく見ていきましょう。

叢生とは?どんな歯並び?

自身の歯列について「他の人と比べたときに、自分の歯列はデコボコしている」「歯の生え方が綺麗な列になっていない」などといった点を気にしている人は多いかも知れません。

このようなデコボコした歯の生え方を「叢生(そうせい)」と呼びます。叢生は、良くない噛み合わせとされる不正咬合の一つです。歯同士が重なり合う部分が多いのが叢生の特徴で、叢生を気にして矯正を検討する人が大多数です。

八重歯も叢生の一つ

叢生の症状のうち、犬歯だけが歯列の外側へと飛び出ている状態を「刃」を由来とする「八重歯」と言い、欧米では「吸血鬼の歯」と見なされ、美しくないとされているのです。そのため、すみやかに矯正をする対象になっています。

犬歯が外側に飛び出ると何か問題があるのでしょうか。一つは、外側にあるために他の歯と比べても歯根を覆う歯肉が薄くなり、将来的に歯肉が下がりやすい環境にあるのです。また、機能的な面でみても、顎を動かしたときに犬歯が奥歯に掛かる力を分散する役割を担っているので、犬歯がうまく噛み合わないと奥歯に過剰な負担が掛かってしまい、歯がすり減る原因にもなってしまうのです。

叢生の原因

当院診療風景

どうして叢生になってしまうのか。その理由としてはいくつかあるのですが、先天的なものと後天的なものに分けることが出来るでしょう。

先天的なものとは、親からの遺伝で骨格や歯の大きさなどに原因がある場合です。それに対して後天的なものとは、生まれてから日常生活を送る中で問題が起こってしまう場合です。

ここでは叢生になってしまう原因について、詳しく解説しましょう。

顎が小さい

歯の生えている土台は「歯槽骨(しそうこつ)」と呼ばれています。歯はこの土台に沿ってU字型に並ぶのですが、このU字型のサイズは顎の大きさと関係しています。

そのため、顎のサイズが小さいとU字型も小さくなり、それに対して歯のサイズが大きいと綺麗に並んで生える余地がなくなります。その結果、お互いにひしめき合うような、不揃いな歯の生え方になるのです。

総じて日本人は顎が小さく、歯が大きいと言われるため、叢生になる人が多いのです。これには、親からの遺伝が影響していることも考えられます。骨格の形状を遺伝で受け継ぐことで、顎のサイズが小さい方もたくさん存在しているでしょう。

乳歯の生え方の問題

まだ乳歯が生えている頃の過ごし方でも、叢生になってしまうケースが考えられます。つまり遺伝や骨格の問題ではなく、幼少期の過ごし方でも叢生になってしまう場合があるのです。

乳歯が虫歯になってしまうと、その治療のために抜いてしまう場合があります。その結果、後に生えてくる永久歯が正常な位置に生えてこられずにずれてしまって、歯列が乱れてしまうパターンが考えられるでしょう。

また、虫歯によって強制的に乳歯を抜かなくても、乳歯が抜け落ちるタイミングが早い人は注意が必要です。これも永久歯の生える位置がずれる可能性が出てきて、叢生になる恐れがあります。

叢生を放置するデメリット

人間は与えられた条件に適応する習性がありますから、叢生を放置したまま日常生活を送っていく人も多いでしょう。しかし矯正で叢生を改善すると、日常生活が明るく変化することがあるのもまた事実です。

矯正歯科医の立場からすると、叢生を放置することはお勧めできません。なぜならば、放置することによるデメリットがとても大きいからです。

ここでは、どのようなデメリットがあるのかについて、代表的なものをピックアップして解説しましょう。

虫歯や歯周病になりやすい

叢生は歯と歯が重なり合っている箇所が多ので、食事の時に食片が歯の隙間に挟まりやすい状態にあると言えるでしょう。

歯ブラシが届かない箇所には、口内に残った食片を取り除けなかったり、歯垢が溜まってしまいます。その結果、虫歯や歯周病が引き起こされることになるでしょう。口臭の原因にもなります。

特に歯周病は歯を失うだけでなく、他の病気の原因にもなることが近年の研究で分かってきました。歯周病が悪化することで、炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、様々な病気を引き起こしたり悪化させる原因となることが近年の研究で明らかになってきています。

人によっては自信を持てない

見た目の問題として、デコボコとした歯並びに悩んでしまう人もたくさんいます。自身の歯列にコンプレックスを感じているような人だと、鏡を前に「私は美しくない」などと劣等感を持ってしまうことも。

叢生の人のなかには、歯列を見せるような笑い方が人前で出来ないケースも存在するでしょう。笑顔を交えて人と会話することは、コミュニケーションを円滑にする大切な要素となるので、笑顔に自信を持てないと損をしてしまっているかもしれません。

また、審美的な問題とは別に、発音しづらい言葉があったりする場合もあります。滑舌が悪いことを気にするあまり、人との会話に苦手意識を抱えてしまう人もいます。

叢生の矯正治療方法

当院診療風景

矯正による叢生の治療では、その症状の重さによって治療に掛かる期間が変わってきます。日本では矯正治療は保険が効かずに全額自己負担となることから、どうしても高額になりがちです。しかしながらその投資に見合った結果が得られます。

叢生の場合、何かしらの方法で隙間をつくって歯を並べる治療になります。治療費としては、100万円程度の費用を要します。そして治療期間ですが、症状の軽い方は1年以内で完了する場合もありますし、症状が重くなるにつれて、2年~3年の治療期間が必要と考えられます。

ワイヤー矯正

歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる小さな部品を接着し、そこに金属製のワイヤーを通し、ワイヤーの締め付ける力で歯を動かしていく方法を「ワイヤー矯正」と言います。

現代の矯正法において最も古くからある治療法なので、数多くの症例に適しています。しかし、その反面で装置が目立つことを嫌う人もいます。

そうした人に向けて最近では、歯と同色をしたワイヤーに樹脂製で透明なブラケットを合わせることで、装置を目立ちにくくした「審美ブラケット」と呼ばれるものも用意されています。

また、歯の裏側にブラケット及びワイヤーを取り付ける「裏側矯正」という方法も。歯によって装置の類はすべて裏側で外からは隠れるため、治療中であることはほとんど気付かれないという利点があります。

マウスピース矯正

ワイヤー矯正では治療の開始とともに装置を取り付け、治療が完了するまで取り外すことが出来ません。それに比べて、食事や歯磨きの際に装置を取り外せるのが「マウスピース矯正」です。

ただし1日20時間以上、マウスピースを装着することが必要です。それを守らないと矯正力が働かず、治療効果が上がらないことを覚えておきましょう。

複数のマウスピースを10日に1枚といったペースで順次取り替えていき、段階的に歯を動かしていく治療法なので、複数枚のマウスピースを一度に手渡されることになります。

仮に紛失してしまうと作り直すことになります。作成には数週間を要するため、治療期間に空白ができて長引いてしまう恐れがあります。そうならないよう紛失には気をつけましょう。

 


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まとめ

以上、叢生とはどのような歯並びなのか紹介し、そうなってしまう原因と放置することのデメリットに触れつつ、治療方法について解説しました。

叢生の症状が重くなると口内環境をクリーンに保つのが難しくなるので、あらゆる病気を引き起こしかねません。そのため、矯正治療で歯列を整えることをお勧めします。

当院では歯列に問題を抱えている様々な患者さんに対応すべく、日々の業務に励んでいます。もし歯並びのことで悩み事があれば、ぜひ一度お越しください。

                       

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