開咬(オープンバイト)を矯正で治す!治療の種類・方法・費用・期間を矯正歯科認定医が解説

開咬(オープンバイト)を矯正で治す!治療の種類・方法・費用・期間を矯正歯科認定医が解説

開咬(オープンバイト)とは、上下の歯を噛み合わせた時に奥歯は噛み合っているのに前歯に隙間が出来てしまい、キチンと閉じない状態のことを指します。

「私も開咬で苦労している」といった人は、矯正することによって前歯が閉じるようになるケースは多いと言えるでしょう。

放置しておくと良くない影響が色々と出てくるので、前歯が開いていると認識している人はすみやかに治療を受けることをお勧めします。今回は開咬について詳しく見ていきましょう。

開咬になる原因とは?

開咬になってしまう原因は様々なものに分けられます。まず、幼少期に舌の筋力が足りず、食べ物を咀嚼して飲み込む動作が正常に行えない場合が考えられるでしょう。

また、幼い時に指しゃぶりをする癖があると上下の前歯が開いてしまいます。その状態で開いた前歯に対して、内側から栓をするように舌を押しつける癖がある人は開咬の症状をさらに進行させてしまいます。

このような舌の癖は口呼吸をすることによって起こりやすいとされていて、アレルギー性鼻炎などを理由に口呼吸になってしまった人が、開咬を引き起こすケースも考えられるでしょう。

そして顎の成長バランスが崩れてしまった場合、生えてくる歯と顎のサイズが合わないために開咬が引き起こされることも。また、遺伝によって骨格に問題があることで、開咬になってしまうパターンもあり得るでしょう。

開咬を放置するデメリット

開咬は前歯が噛み合っていない状態なので、奥歯に掛かる力が大きなものになってしまいます。その結果、奥歯がすり減ってしまったり、最悪の場合は折れたり割れたりする場合も考えられるでしょう。

奥歯の破折が無かったとしても、大きい負担がかかる歯は虫歯や歯周病を引き起こしやすくなってしまいます。そのような状態になると、大切な歯を失ってしまう恐れも出てくるので注意が必要です。

日常生活を送る上でも問題があります。前歯で食べ物を噛み切れないことから、食事をすること自体にわずらわしさを感じてしまったり、咀嚼がうまくいかないことで消化器官に負担がかかってしまうことも。

また、空気が隙間から漏れることで発音しにくい言葉が出てくるため、人と会話することをためらってしまうケースもあるでしょう。このように大きな問題を引き起こす開咬は、矯正で治せる場合もあるのです。

開咬を治すための歯列矯正

歯列を正しい状態に矯正してあげることで、開咬の症状に改善が見込めるケースは多いと言えるでしょう。ただし骨格に問題を抱えているケースでは、矯正だけでなく外科的な処置が必要なこともあります。

歯並びの乱れが開咬の原因になっている場合でも、その症状の重さというのは患者さんによって様々です。ですので、一人ひとりで異なってくる症状の度合いに合わせた矯正法で、適切な歯列を実現します。

この項では、いくつかの代表的な歯列矯正の治療法をピックアップし、それらの開咬に対する治療効果について解説しましょう。

ワイヤー矯正

歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる部品を接着し、そこに金属製のワイヤーを通して矯正する手法を「ワイヤー矯正」と言います。ワイヤーの力を歯に掛けることで、ゆっくりと目的の位置まで歯を動かすのです。

この手法は現代において最も古くからある治療法なので、様々な症例に対応してきた実績があり、医療トラブルの起こりにくい矯正法になっています。この方法を扱う矯正医としても、手慣れていると言えるでしょう。

ただし装置を取り付けると、治療を終えるまで取り外せません。歯磨きを怠ると雑菌が増えて虫歯や歯周病の原因に。そうなると矯正を止めて虫歯・歯周病治療が優先されるので、治療期間が伸びる点に注意しましょう。

また装置が目立つことを嫌う人に向けて、歯と同色のワイヤーに透明のブラケットを組み合わせて目立たなくした装置もあります。さらには、部品をすべて歯の裏側に取り付ける「裏側矯正」という手法もあるでしょう。

マウスピース矯正

10日に一回程度のペースで段階的にマウスピースを取り替え、最終的に理想とする歯列まで歯を動かす治療法を「マウスピース矯正」と言います。一枚のマウスピースで歯を動かす量はコンマミリ単位と微細なものです。

この手法は、食事や歯磨きの際に装置を取り外せる点がワイヤー矯正との大きな違いです。ただし、1日20時間以上の装着義務が設けられていて、それを守らないと治療の効果が上がらない点に注意が必要です。

また、マウスピースを装着するにあたっては、歯を綺麗に磨いた状態でなくてはなりません。なぜなら、食片などが残っているとマウスピースで加えたい力がうまく歯列に伝わらなくなり、矯正力が働かないからです。

そして、クリニックからは複数枚のマウスピースをまとめて手渡されることになります。そのため紛失しないよう注意しましょう。また破損してしまうと、作り直しとなるので治療期間が伸びてしまうので注意が必要です。

MFT(筋機能療法)

開咬の症状を持つ人は、その隙間に舌を押し当てる癖があることは既に述べました。そのように内側から前歯をグイグイ押していると、治ったはずの開咬が再発してしまう恐れがあります。

そのため矯正治療を終えた後には、舌の筋肉を適正なものにして悪い癖が出ないように改善する「MFT(筋機能療法)」と呼ばれる治療が行われます。

このMFTは歯列と関係する口腔周りの筋機能を改善させるものなので、舌だけでなく唇や頬なども治療の対象になります。まず、口腔周りのそれぞれの筋肉の機能を改善させる訓練が行われるでしょう。

次に咀嚼やものを飲み込む動作、発音や呼吸の訓練が行われます。そして最後に、無意識の時にも唇と舌が適切な位置にあることを目指す訓練が行われ、歯列を乱す要因を取り除けば完了です。

歯列矯正用アンカースクリュー

ワイヤー矯正では目的とする歯を動かすために、本来は動かす必要のない他の歯にも力が掛かります。つまり、お互いの歯が相対的に動いてしまう状態に。その問題を解決するのが「歯列矯正用アンカースクリュー」です。

これは歯茎内や口腔内の骨に取り付けるネジ式のアンカーで、絶対的に動かない力の固定源として用いることが出来るのです。ネジ頭にあるアンカー部分にワイヤーを掛け、目的の歯と繋いで治療効果を向上させます。

例えば水平方向に前歯を動かしたい場合は、奥歯の歯茎部分にアンカーを取り付け、そこから前歯にワイヤーを掛けて後ろへと引っ張るといった手法を用います。

また、歯に回転を加えるような動かし方や垂直方向へ動かすことも出来るので、目的とする歯だけを効果的に矯正できる手法と言えるでしょう。

開咬の歯列矯正にかかる費用と期間

先の項で開咬を治せる手法として紹介したワイヤー矯正とマウスピース矯正ですが、そのどちらの治療法にも「全体矯正」と「部分矯正」と呼ばれる矯正法が存在しています。

歯列全体に力を加えて矯正することを「全体矯正」と言い、数本の歯だけに力を加えて矯正することを「部分矯正」と言うのです。部分矯正で済ませられる方は、治療費を削減できるとともに治療期間も短縮できますが、部分矯正で治療できる症例は症状の軽いものに限られています。

開咬の矯正にかかる費用

開咬の矯正にかかる費用は以下の通りです。

部分矯正(ワイヤー矯正)¥220,000~¥858,000
部分矯正(マウスピース矯正)¥462,000~¥726,000
全体矯正(表側からのワイヤー矯正)¥858,000~¥990,000
全体矯正(マウスピース矯正)¥726,000~¥957,000

開咬の矯正にかかる期間

開咬の矯正にかかる治療期間は以下の通りです。

部分矯正数ヶ月
全体矯正1~2年

まとめ

以上、開咬になる原因と放置するデメリットについて解説し、歯列矯正による治し方に触れつつ、費用や治療期間について紹介しました。

骨格に異常を抱えて外科手術を必要とするケースのなかには、保険が適用される場合があります。

いずれにせよ、自身の開咬が矯正で治るものなのか確認するために、矯正歯科でカウンセリングを受けることをお勧めします。

当院でも歯列の悩みを抱える方の相談を受け付けていますので、歯並びに異常を感じている人はぜひ一度お越しください。

                                  

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