矯正器具が外れた時はどうしたらいい?よくあるトラブルの対処法を解説!

矯正器具が外れた時はどうしたらいい?よくあるトラブルの対処法を解説!

矯正の治療を受けている最中に、突然器具が外れたりするトラブルに見舞われたら、誰だって「どうしよう」とパニックになります。

しかし慌てる必要はありません。しっかりと落ち着いて、自身が出来る処置をしておけば大丈夫なケースが意外と多いのです。

患者さんにとっては大ごとのように感じても、歯科医師はそうなる可能性を見越した上で治療をしている場合すらあります。今回はそのようなケースについて理解を深めましょう。

まずは矯正器具のどこが外れたかを確認すること

ワイヤー型の矯正装置は、いくつかの部品が集まって構成されています。矯正治療中にそれらの器具のうち、どこの部分が外れたかによって、対処法が異なります。

ここでは、外れた箇所別にどうやって対応するべきなのか、考えてみましょう。

ブラケットが外れた

それぞれの歯の表面には「ブラケット」と呼ばれ、歯に力を加える為のワイヤーを通す目的で小さな部品が専用の接着剤で取り付けられます。これが外れてしまうと矯正力がうまく働きません。

しかし、接着剤で取り付けていることから、ここが外れてしまう可能性についてはある意味で想定されていることと言えるでしょう。医師からは最初に器具を取り付けた際に、粘土状のワックスを手渡されているかと思います。

装置のある部分が口内の粘膜に当たって痛みを感じる場合に、このワックスで部分的に装置を覆うように用いるのです。ブラケットが外れた際には、ワイヤーを固定する目的でワックスを用いましょう。

ワックスで応急処置をしつつ、なるべくすみやかに通院して医師に処置をしてもらいます。

ワイヤーが外れた

ワイヤーが外れた時も、慌てる必要はありません。ブラケットに差し込めるようなら差し込んでおきましょう。そうしておいた上で、その位置で固定する為にワックスを用います。

仮に固定できない場合になると、口内にワイヤーが引っ掛かって痛みを感じてしまうケースもあるでしょう。その際はニッパーやラジオペンチなどを使ってワイヤーを切断したり曲げたりして対処します。

また、ワイヤーエンドが余って歯茎や頬に刺さるようならば、適度なサイズのガーゼを切り出してガードをするのも一つの手段です。

いずれにせよ、ワイヤーが外れた状態だと矯正力が働かないので、後戻りをさせない為にもなるべく早く歯科医に処置をしてもらいましょう。

リガチャーワイヤーが外れた

ブラケットとワイヤーを結ぶ金属製の細い針金を「リガチャーワイヤー」と言います。この部分から外れてしまうと、細い針金が外側に向いて突き出る場合が多く、口内の粘膜を傷つけやすい状態になるでしょう。

その為、割り箸などを用いてリガチャーワイヤーを押し込み、角度を変えてしまいましょう。うまくブラケットの内側に戻すことが出来たら、痛みを感じなくなるはずです。

矯正器具が外れてしまう原因とは?

矯正をしている最中に器具が外れた状態になるケースは、ときおり起こりうる一般的なことだと言えるでしょう。

この項では、矯正器具の外れてしまう原因について詳しく解説しましょう。

強く噛む人は注意が必要

人間のものを噛む力というのは、結構馬鹿に出来ないレベルの強さがあります。普段から力強く噛んでしまう癖がある人は、装置に想定している以上の力が加わっていると考えられます。

歯を食いしばるような癖がついてしまっている人は、矯正中はできるだけ噛む力を意識してみましょう。

歯のサイズが小さい

接着剤で取り付けている装置は、治療が終われば外せる程度の力で取り付けられています。その接着力を維持する為には、一定の接着面積が確保された必要最低限の歯のサイズが求められます。

成長段階にある子供のケースに多いのですが、成人した方でも歯のサイズが不足している患者さんは存在しています。

そのような装置が外れやすい条件を持つ人には、接着力を超えるような力を加えないよう注意するなどの、医師からの指導を受けることもあるでしょう。

歯の治療痕などがある

ブラケットの装着に用いる接着剤は、歯の表面を覆っているエナメル質につけることを前提として製造されています。その為、銀歯などの治療痕がある人は接着力が発揮できないケースがあるでしょう。

他にもセラミックの歯やフッ素を塗布しているケースにおいても、同様のトラブルに見舞われやすいです。そういった歯をしている人には、接着の前処理をしてから装置を取り付けます。

治療が進んだ結果として外れる

歯列が理想的な位置へと動いてきた結果として、器具が外れてしまうケースがあるでしょう。元の状態が乱れた歯列だったので、その状態で接着したものに対して治療が進むことで歪んだ力が加わる為です。

矯正器具が外れないように何か予防法はあるの?

「矯正の器具が外れてしまった」と不意のトラブルで慌てない為には、装置を取り付けたあとの日常生活を送る上で、予防策をしっかりと取ることが大切になってきます。

その点に注意しておくだけでも、不意に器具が外れて困った状態を避けることが出来ます。どのような予防方法があるのか、順を追って見ていきましょう。

固い食べ物を避ける

噛み応えのある食べ物を咀嚼する時には、必然的に噛む力が大きくなってしまいます。そうすると器具に力が伝わって外れてしまいやすい状態になるでしょう。

果物ならばりんごのようなものは避け、間食のおやつならば煎餅なども危険です。また、肉も弾力があって噛み応えのある部位のものは避けましょう。

そして、粘り気のある食材にも注意が必要です。歯にくっ付きやすいキャラメルや、まとわりつくようなガムなどは避けた方が無難です。

舌先で触ったりすることを癖にしない

矯正器具が取り付けられたばかりの時は、口内の違和感から舌先などで器具を触ってしまうことがよくあります。

器具を触り続けることで、想定していない角度から一定の力が加わることになるので、外れてしまう原因になります。「あまり触らない、気にしない」を認識して、器具に触れる癖がつかないようにしましょう。

歯磨きはやさしく丁寧に

矯正中に虫歯や歯周病になってしまうと、そちらの治療が優先される為、歯列矯正の治療期間が伸びてしまいます。その為、口内ケアを大切にしなくてはなりません。

しかし、なかには装置の隙間にある汚れをしっかり掻き出そうと激しくブラッシングする患者さんがいます。

強い力で磨くと装置が外れやすくなるので、やさしい力加減で丁寧に磨くことを心がけましょう。

まとめ

以上、ワイヤー型矯正装置において器具の外れた箇所別に説明をし、外れてしまう原因について触れ、予防する方法について紹介しました。

基本的に応急処置をしておけば、あまり慌てる必要は無いと言えます。ただし、口内に痛みを覚えたりする場合はなるべく早くお世話になっているクリニックに足を運び、様子を診てもらいましょう。

                                  

LINE 相談・予約できます。友達追加はこちらから

                                  

矯正後に発生するブラックトライアングルとは?要因や自然治癒の可否も解説

矯正後に発生するブラックトライアングルとは?要因や自然治癒の可否も解説の画像

矯正後に発生するブラックトライアングルとは?要因や自然治癒の可否も解説

矯正治療について調査を進めるなかで、「施術後にブラックトライアングルが生じる可能性があること」を不安に感じる方は珍しくありません。実際に当院でも、この相談を受けることは多いです。

本記事では、矯正治療後に発生する可能性があるブラックトライアングルについて、定義・原因・自然治癒の可否・矯正前にできることを深掘りしていきます。

矯正治療を受けたいが不安を感じている人、ブラックトライアングルの発生をできれば避けたいと考えている人などは、ぜひ最後までご覧ください。

部分矯正は全体矯正よりも簡単で低価格?矯正の専門医が両者を比較します

部分矯正は全体矯正よりも簡単で低価格?矯正の専門医が両者を比較しますの画像

部分矯正は全体矯正よりも簡単で低価格?矯正の専門医が両者を比較します

費用や期間などにおいて、比較的楽に矯正ができると思われている部分矯正。「部分矯正は全体矯正よりも楽に治療できる」とお考えのもと、相談や治療計画のお問い合わせをいただくことは非常に多いです。

しかし、部分矯正は一概に”楽”であると断定できません。むしろ全体矯正の方が、費用やリスクの面でメリットが大きい場合もあります。

本記事では、部分矯正と全体矯正を「期間」「費用」「抜歯の有無」「治療できないケース」「リスク」の観点から徹底比較していきます。

部分矯正であれば全体矯正よりも負担が軽いとお考えの方や、部分矯正のメリット・デメリットを知りたい方などは、ぜひ最後までご覧いただき、そのうえでどちらにするかをご検討ください。

マウスピース矯正とは?デメリットや矯正ができない事例を解説

マウスピース矯正とは?デメリットや矯正ができない事例を解説の画像

マウスピース矯正とは?デメリットや矯正ができない事例を解説

ワイヤー矯正とは異なる魅力を有するマウスピース矯正。近年、学生、社会人、女性を中心に人気を集めています。

本記事では、マウスピース矯正に関して、メリット、デメリット、矯正ができない事例について解説していきます。「マウスピース矯正を検討している」「マウスピース矯正ができるか不安」という方は、ぜひ最後までご覧ください。

矯正治療の歯型取りが気持ち悪い!理由と吐き気の対策を紹介【歯型を取らない方法も紹介】

矯正治療の歯型取りが気持ち悪い!理由と吐き気の対策を紹介【歯型を取らない方法も紹介】の画像

矯正治療の歯型取りが気持ち悪い!理由と吐き気の対策を紹介【歯型を取らない方法も紹介】

矯正治療を受ける際に、多くの方が苦手意識をもつ歯型取り。「おえっ」となる感覚が嫌で、矯正治療を敬遠している方も多いのではないでしょうか。

本記事では矯正治療における歯型取りに焦点を当て、必要性、気持ち悪さを感じる理由、気持ち悪さを緩和するコツについて解説していきます。最後に歯型取りの最新技術「3D口腔内スキャナー」にも触れますので、ぜひ最後までご覧ください。

なお、歯型取りは歯科専門用語で「印象採得」といいますが、ここでは一般的で親しみやすい「歯型取り」で進めます。

部分矯正ができない例とは?判断基準について矯正歯科の認定医が解説!

部分矯正ができない例とは?判断基準について矯正歯科の認定医が解説!の画像

部分矯正ができない例とは?判断基準について矯正歯科の認定医が解説!

「私は数本の歯が乱れているだけだから部分的な矯正で済ませたいな」といったように、気になる歯が1〜3本程度ならば部分矯正で治せるのではないかと考えている人も多いでしょう。 しかし乱れた生え方をして...

叢生の矯正とは?原因と放置するデメリットや矯正治療法について紹介

叢生の矯正とは?原因と放置するデメリットや矯正治療法について紹介の画像

叢生の矯正とは?原因と放置するデメリットや矯正治療法について紹介

「歯並びが不揃いなのが気になるから、治したい」と考えている人は、見た目や機能性の問題を感じている場合が多いでしょう。 私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。...

下の歯だけ矯正することは可能?部分矯正の特徴やメリット・デメリットについて

下の歯だけ矯正することは可能?部分矯正の特徴やメリット・デメリットについての画像

下の歯だけ矯正することは可能?部分矯正の特徴やメリット・デメリットについて

「下の歯に気になる部分があるから、そこだけを矯正したい」といったように、部分的に歯列が乱れていることを気にする人もいるでしょう。 その一部分だけを治すために、大掛かりな装置を取り付けて治療をする...

開咬(オープンバイト)を矯正で治す!治療の種類・方法・費用・期間を矯正歯科認定医が解説

開咬(オープンバイト)を矯正で治す!治療の種類・方法・費用・期間を矯正歯科認定医が解説の画像

開咬(オープンバイト)を矯正で治す!治療の種類・方法・費用・期間を矯正歯科認定医が解説

開咬(オープンバイト)とは、上下の歯を噛み合わせた時に奥歯は噛み合っているのに前歯に隙間が出来てしまい、キチンと閉じない状態のことを指します。 私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多く...

歯列矯正で面長が治る?出っ歯や受け口の治療による面長の印象の変化について

歯列矯正で面長が治る?出っ歯や受け口の治療による面長の印象の変化についての画像

歯列矯正で面長が治る?出っ歯や受け口の治療による面長の印象の変化について

みなさんはどういった顔立ちの人を「美人」だと感じますか。このように問いかけるのは、美しいと感じる感覚も時代とともに変化することを知ってほしいからです。 江戸時代の浮世絵の様に、ある時代までは面長...

ガミースマイルの治し方を解説!矯正治療で治るガミースマイルの原因を紹介

ガミースマイルの治し方を解説!矯正治療で治るガミースマイルの原因を紹介の画像

ガミースマイルの治し方を解説!矯正治療で治るガミースマイルの原因を紹介

「ガミースマイル」とは、笑ったときに上の前歯の歯肉が過剰に見えすぎてしまう状態を言います。元々は歯科用語でしたが、多く知られるようになりました。 最近になってますます注目されているこの症状は、見...

歯並びが悪いことによる影響とは?その原因と歯並びをよくする治療方法を紹介

歯並びが悪いことによる影響とは?その原因と歯並びをよくする治療方法を紹介の画像

歯並びが悪いことによる影響とは?その原因と歯並びをよくする治療方法を紹介

「私は歯並びが悪いから、その問題を何とかしたい」と考えている人も、自身の症状がどれくらい重症なのかは把握できていなかったりします。 患者さんの歯列というのは一人ひとり本当にバラバラですから、専門...

歯列矯正で横顔が変化する?理想のEラインを実現する為に必要なこととは何か

歯列矯正で横顔が変化する?理想のEラインを実現する為に必要なこととは何かの画像

歯列矯正で横顔が変化する?理想のEラインを実現する為に必要なこととは何か

歯列矯正によって横顔のコンプレックスを解消される患者さんは意外と多くいらっしゃいます。 フェイスラインを美しくしたい目的に対して歯の矯正が効果的だとしたら、これを見逃す手はありませんよね? 私は...