歯列矯正の装置をつけるまでの流れとは?矯正歯科の治療方法と自分で気をつけること
歯列矯正は、治療を受けた人にしか分からないことで一杯です。例えば装置をつけるまでの手順などは、実際に体験して初めて「こうなっているんだ」と感心させられる人もいるでしょう。
「どの程度まで矯正のことを知っているのか」と問われれば、専門家でもない皆さんはその答えに困ってしまうかも知れません。
今回は、そのように「分かっているようで今ひとつ分からない」矯正治療のなかでも、装置をつけるまでの流れについて詳しく見ていきましょう。
歯列矯正の装置をつけるまでの流れ

矯正治療に踏み切った場合、矯正用の装置を取り付けた後は、月に1度くらいのペースで通院するだけなので、ある意味ラクだと言えるでしょう。
本当に大切な部分は、歯列矯正を始めるにあたって装置をつけるまでの、何段階かのステップにあるとも言えます。この段階で医師が見立てた治療方針が決まるからです。
この項では、装置をつけるまでの前段階にどのような手順があるのかについて説明していきます。
初回カウンセリングと検査
初回のカウンセリングでは、どのようなことで悩みを抱えているのかじっくりと聞き取りを行い、患者さんに合わせた治療方針を提案する場となります。
治療にかかる期間や費用など、医師が丁寧に答えてくれるので、不安に思うことや気になることがあればドンドン質問しましょう。
そして患者さんの状態を把握する為に、精密検査を行います。骨格を知る為にレントゲン撮影をし、歯列の状態を調べる為に歯型を取り、さらに顔立ちの状態がどのようなのか把握する為、写真撮影などを行うでしょう。
診断の結果から治療方針を説明
初診の検査から2〜3週間後、その結果に基づいてどのような治療をすれば効果があるのか、医師から直接説明します。
レントゲン写真や採取した歯型などのデータを交えて説明するので「なぜその治療方針になるのか」という点において、どこか気になるところがあれば尋ねてみましょう。
矯正歯科医はこの段階で、すでに明確な答えを持っているので、論理的に患者さんの状態を説明してくれるに違いありません。方針に同意でき治療を受けるとなれば、契約を結ぶことになるでしょう。
クリーニング
矯正装置を装着すると、器具が邪魔をして歯の磨き残しが出てしまいがちです。そういったリスクを軽減する為に、事前にクリーニングを行います。
また、この段階で虫歯や歯周病が見つかったら、そちらの治療を優先することになります。
必要ならば抜歯も行う
歯を大きく動かす必要があると判断された場合、抜歯をするケースがあるでしょう。口腔外科がその専門医ですので、紹介された口腔外科まで出向いて抜歯の処置を受けなくてはなりません。
以上のようなステップを踏んでから、矯正装置の装着となります。
歯列矯正で装置をつけるまでに知っておきたいリスク

治療が実際に始まって、装置をつけてみないことには実感できないことが、たくさん存在しています。治療に踏み切った後になって「こんなはずじゃなかった」となる患者さんも少なくありません。
ここでは、歯列矯正で装置をつけるまでに知っておくべき矯正治療のリスクについて、いくつかピックアップして解説しましょう。
装置の締め付けによる痛み
装置を装着して数日間は痛みに悩まされるかも知れません。1〜2週間もすれば慣れてくるので、それまでは我慢が必要になります。
歯が浮いたような感覚になり、噛む度に痛む場合は柔らかい食材を選ぶなどの工夫が求められるでしょう。
歯が短くなったり歯茎が痩せるなどのトラブル
歯茎の中に埋まっている歯の部分を「歯根」と呼び、歯槽骨という骨に収まっています。歯に力を加えて動かそうとすると、歯槽骨が歯根を吸収し、短くなるケースがあるでしょう。
また、歯肉が痩せて歯茎が下がってしまう「歯肉退縮」と呼ばれる症状が引き起こされる場合もあります。これは、乱れて生えた歯の根元に土台となる歯槽骨がなかった場合などに起こる症状です。
そして、ごくまれに歯を動かすことで歯の神経が障害を受けてしまい、壊死してしまうケースがあるでしょう。多くのクリニックでは、そうならないように微弱な力で歯を動かします。
さらには、歯と骨が癒着してしまっている患者さんも存在します。そういった場合、装置で力を掛けても歯が動いてくれません。
顎関節症を引き起こす恐れがある
口を開閉する度に顎の関節から音がしたり、口を開けること自体が難しくなってきたら「顎関節症」を引き起こしている可能性があります。
放置していると、症状が重くなって顎の関節に痛みを感じたり、耳鳴りや頭痛などに悩まされるケースまで出てくるので、違和感を感じたらクリニックに足を運んでみましょう。
クリニックでは、器具を再調整したり、装置を一度外して様子をみる期間を設けたりといった対応をしてくれるはずです。
治療終了後も後戻りのリスクがある
晴れて治療が完了すると、長年付き合ってきた矯正装置を取り外すことになります。しかし、歯並びが綺麗に整った状態をキープする為の、更なる処置があることを覚えておきましょう。
歯並びが整ったことにすっかり安心してしまい、医師の言いつけを守らないと「後戻り」といって、元の乱れた歯列になってしまうので、注意が必要です。
【装置別】歯列矯正の治療方法について

歯列矯正で装置をつけるまでには、注意すべき点が多々あることが分かってもらえたかと思います。それらを踏まえつつ、実際に「この装置で治療する」となった時に、その装置について詳しく知りたくはありませんか。
ここでは、歯列矯正で用いられる装置について、その長所や短所も踏まえつつ紹介しましょう。
ワイヤー型
各歯に装着した部品にワイヤーを通して力を加える矯正装置で、幅広い症状に適合します。一度取り付けると外すことができない為、部品が邪魔をして歯磨きの磨き残しが生じやすい状態になります。
それにより歯周病や虫歯になってしまう可能性があるでしょう。口内の雑菌を綺麗に取り除くには、装置を取り付けたままでの歯磨きに慣れる必要があります。
また、装置が目立つことを嫌う人が多く、そういった患者さんに対応する為に目立ちにくい素材を用いるなどの進化を遂げています。また、歯の裏側に装置をつけることで、見えないようにすることも可能です。
ただし、裏側に部品があると舌先が触れて違和感を抱く患者さんもいるでしょう。その為、上顎の歯列は裏側から、下顎の歯列は表側から処置する方法もあります。目立ちにくく、舌先が触れにくい点もメリットです。
マウスピース型
複数枚のマウスピースを段階的に取り替えていくことで、歯列を整えていく治療法になります。ワイヤー型との最大の違いは、取り外しが自由にできるという点です。
その為、食事や歯磨きの際に違和感を抱くことがありません。また、透明の樹脂で出来ている為に、矯正していることが周囲の人にバレにくい利点があります。
ただし、ワイヤー型ほど幅広い症例に対応していない点を忘れてはなりません。歯を大きく動かす必要があるケースでは用いることが出来ないでしょう。
また、1日に20時間以上の装着が義務付けられているのに対し「面倒だから」などといった理由で、装着時間を守ることが出来ないと、治療期間そのものが伸びてしまうでしょう。
アンカースクリューと顎間ゴム
ワイヤー型での矯正は、目的の歯以外の歯も相対的に動いてしまいます。そういった状態を嫌うケースでは「アンカースクリュー」と呼ばれるネジ式のアンカーを歯茎内の骨に装着し、絶対的な力点を確保します。
そこにワイヤーを掛ければ、目的の歯のみに対して力を加えることができます。歯同士の複雑な動きを考慮する必要がなくなる為、治療期間の短縮にもなるでしょう。
また、ワイヤー型を装着しつつ「顎間ゴム」と呼ばれる透明の輪ゴムを使用するケースがあります。上下の歯についた部品に掛けることで、理想的な歯列に近づける手法です。
リテーナー
歯並びを整える治療を終えると、今度は「保定期間」と呼ばれている後戻りを防ぐための期間に入ります。その際、矯正用の装置が外れた代わりに「リテーナー」と呼ばれる装置を取り付けるでしょう。
取り外し可能なものと不可能なものに分かれていますが、取り外せるタイプは1日の装着時間が決まっているのでそれをしっかりと守らなくてはなりません。
また、取り外せないタイプでも、不意に装置が外れてしまうケースがあります。その時はなるべく早くクリニックを訪れ、適切な処置を受けましょう。
まとめ
以上、歯列矯正で装置をつけるまでの流れを説明し、治療のリスクに触れ、装置別の治療法について紹介しました。
このようにして見てみると、矯正治療で歯並びを整える行為は多くの手順を踏んだり、さまざまな選択肢が用意されていることが分かってもらえるかと思います。
これから治療を受けたいと考えつつ、不安な気持ちになっている方には、何も分からない状態でクリニックに来る患者さんも多いので、安心してください。
当院では、歯列の悩みを抱える人の相談を受け付けていますので、ぜひ一度お越しください。
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