噛み合わせは矯正で改善できる?理想の噛み合わせ・歯並びを手に入れる方法とは
「矯正によって噛み合わせが適正になる」ということに、自分自身で気付ける人は意外と少ないかも知れません。
なぜならば、歯並びと噛み合わせの状態が悪い人でも噛み合う箇所を用いて食べるので、無意識に自身の口内環境に適応してしまう為です。
他者からの指摘を受けて、初めて「自身の歯列がどうなっているのか」という点に意識が向き、その結果として治療を始める人も多いのではないでしょうか。
また「歯列矯正は美容目的で行うもの」といった考え方が広く普及していますから、噛み合わせが良くなるという点まで考えが及ばない方もいるでしょう。
私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。ここをご覧下さる方の多くが、歯並びに何らかのお悩みをお持ちだと思います。私は全ての方の歯並びのために矯正歯科治療が必要だとは考えておりません。
ただ、明らかに治療が必要な、日常生活や対人関係に支障をきたす歯並びや咬み合わせをお持ちの方もいらっしゃいます。そのような方にとっては矯正歯科治療をすることには様々なメリットがあります。見た目の印象がより良くなるだけではなく、口腔内の環境や体全体にも良い影響があると考えられます。
今回はそのような矯正と噛み合わせの関係について、詳しく掘り下げて考えてみます。
噛み合わせを治す矯正歯科治療とは
皆さんは矯正歯科治療とはどういったものなのか、厳密に考えてみたことがあるでしょうか。美容目的で「歯並びを整えてくれる」といった認識は、間違いではないですがそれが全てではありません。
矯正には「噛み合わせを正しくする」という大切な要素が含まれています。そのような「ものを噛む機能」を回復させるために、歯を動かして歯列を理想的な状態に整える治療法なのです。
どういったものなのか、より具体的に紹介してみたいと思います。
矯正は歯を移動させる治療法
歯の生え方が乱れている為に、食事などで不便な思いをしている人や、見た目が気になって人前で歯を見せるような笑い方ができないといった方が治療対象となります。
矯正用の専用器具を歯列に装着し、歯に一定の力を加えることで乱れた歯並びを正しい状態にするのです。歯医者のなかでも「矯正歯科」がそういった治療のエキスパートと呼べる存在でしょう。
費用はどのくらいかかるものなの?
費用としては、部分的な矯正治療の場合で症状の軽い人なら数十万円で済む場合もあります。しかし、一般的には歯並びや嚙み合わせは、歯列全体のバランスを考えて、歯列全体を矯正することが必要な場合が多いため、治療費は100万円程度となる場合が多いです。
それほど治療費が高いのは、歯列矯正が「美容目的の治療である」とみなされている為に、保険が適用されないからです。
しかし、例外的に、噛み合わせという「機能を回復する」目的で、外科手術を併用した矯正治療が必要と診断された場合は、保険が適用されるケースもあります。
療期間はどれくらい?
一言で「歯列の乱れ」と言っても、その状態は患者さん一人ひとりで異なっています。症状の軽い人に対しては「部分矯正」といって、歯列の一部だけを治療します。
しかし、症状の重い人は「全体矯正」といって、歯列全体を整える治療が必要になるでしょう。その為、症状によって治療期間はバラバラです。
それでも目安として治療期間を提示すると、部分矯正ならば半年~1年ほどで済むことが多いです。
全体矯正となると1~3年と長期間になることを覚えておきましょう。
矯正の対象となる噛み合わせ(不正咬合)の種類
歯並びが乱れていたり、噛み合わせが悪い状態のことを「不正咬合(ふせいこうごう)」と呼び、矯正治療で改善できるケースがあります。
また、不正咬合と呼ばれる状態にもいくつかの種類があります。ここでは、それらを詳しく紹介しましょう。
出っ歯
上顎の歯列全体が前方へと突き出ている症状を「上顎前突」と呼びます。上側の前歯が前方へと傾いて生えている状態も含めて、それらの症状は一般的に「出っ歯」と呼ばれています。
下顎の成長不足が伴って発症しているケースもあるでしょう。
受け口
上下の歯を噛み合わせた時に、下側の前歯が上側に被さるような状態は、一般的に「受け口」と呼ばれている症状です。「下顎前突」とも呼ばれています。
下顎のサイズが大きすぎることが原因に挙げられますが、上顎の成長が不足していることで発症してしまうケースも考えられるでしょう。
八重歯
歯の土台になっているU字型のサイズに歯列が収まり切らない為に、歯並びがガタガタになって歯が外側に飛び出ている状態を「八重歯」と言います。
特に上側の前から3番目の歯である「犬歯」が外へと飛び出てしまうパターンが典型的な例と言えるでしょう。
すきっ歯
前歯に隙間ができてしまっている状態は、矯正学において「歯間離開」および「空隙歯列」と呼びます。一般的には「すきっ歯」と呼ぶことが多いでしょう。
隙間の部分に汚れが溜まりやすく、放置していると虫歯や歯周病を発症してしまう可能性があります。
オープンバイト
上下の奥歯を噛み合わせているのに、上下の前歯が噛み合ってくれずに開いている状態を「オープンバイト」「開咬」と言います。
噛み切る機能を持つはずの前歯が役に立ってくれない状態なので、食事の時に不便な思いをする人が多いでしょう。
噛み合わせの矯正方法
噛み合わせを矯正するのに用いる装置には、さまざまな種類があります。患者さん一人ひとりの歯並びがバラバラである為、初診の段階で医師が最適な治療法を提示してくれるでしょう。
ここでは、多様な治療方法のなかから代表的なものをピックアップして紹介します。
ワイヤー型装置を用いた方法
それぞれの歯に「ブラケット」と呼ばれる部品を取り付け、そこに金属製のワイヤーを通して歯列に力を加えて矯正する方法です。もっとも一般的な治療法です。
ただし「装置が目立つのを何とかしたい」という声が多く、見た目ですぐに矯正していることが分かってしまうことが難点だとされていました。
近年はそういった声に応える為に、目立ちにくい素材を用いたものや、歯の表側ではなく裏側に器具を装着することで、デメリットを解消しています。
マウスピースを用いた方法
複数枚のマウスピースを段階的に切り替えていくことで、歯列を整える方法です。この、マウスピース型矯正装置をワイヤー型と比べた場合、最大の違いは「取り外しができる」という点でしょう。
1日に20時間以上の装着が義務付けられていますが、食事や歯磨きの時は外せるので不便さが軽減されています。また、無色透明の樹脂製であることから、装着時に目立たないことも人気を集める要因でしょう。
アンカースクリューを用いた方法
歯茎の根元にネジ式のアンカーを装着し、そこにワイヤーを引っ掛けて歯列に力を加える方法です。ワイヤー型は歯列同士の相対的な力関係を利用する手法であり、歯と歯の間で引っ張る力をかけますが、アンカースクリューならば歯とアンカーの間で引っ張るため、アンカーが絶対的な力点になってくれます。
その為、治療期間の短縮が期待できるでしょう。また水平方向だけでなく、歯を歯茎内に沈めるような垂直方向にも歯を動かすことができます。
部分的な矯正
歯列の乱れが一部分だけといったように、症状の軽い人は「部分矯正」で治療を済ませることができます。その際に用いる器具としては、先に挙げたワイヤー型やマウスピース型があるでしょう。
部分矯正で済むかどうかは、カウンセリングの場で歯科医が判断してくれます。短期間で治療が終わり、なおかつ費用も安く済むでしょう。
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当院では全ての方の歯並びのために矯正歯科治療が必要だとは考えておりません。矯正治療をしなくても特に支障がない場合はそのように伝えるようにしています。
しかし、矯正治療が必要な症例や、矯正治療の効果が大きい症例が数多く存在することも事実です。
歯並びを治すことによって、きれいな歯並びを手に入れるだけでなく、歪んだように見える顔立ちや口元の雰囲気まで改善できる場合があります。見た目の印象がより良くなるだけではなく、口腔内の環境や体全体にも良い影響があると考えられます。歯列矯正をしたことで性格がますます明るくなり、心にもいい影響があったと思われる方が多いのも事実です。
ご自身の歯並びの問題を、歯列矯正によって改善できるのかどうか、初診相談を受けて、知ることから始めませんか。
まとめ
以上、噛み合わせを治す矯正歯科治療について紹介し、不正咬合の種類に触れた上で、矯正の方法について解説しました。
「歯並びを整える美容目的のもの」という認識は間違っていませんが、噛み合わせを無視した歯列矯正というのは、その道の専門家である矯正歯科では行いません。
歯を動かす処置をする時には、必ず「噛む機能」を阻害しないという点が目標とするゴールに含まれているのです。
もちろん、治療の過程において一時的に不便な思いをすることはあります。しかし、完治した際にはしっかりと機能性も改善しているはずです。
当院では、歯列に関する悩み事を抱える方の相談を受け付けています。思い当たる方は、ぜひ一度お越しください。
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