インビザラインのアタッチメントとは?使い方とよくあるトラブルについて解説します
インビザラインのことを「マウスピースを取り付けるだけで気軽に矯正できる治療法」と考えている人は、そこに少しの誤解があると言えるでしょう。
なぜなら、インビザラインでの治療に用いるのはマウスピースだけではないからです。世間にはマウスピース型の矯正治療法は他にもたくさん存在しています。
それらの治療法とインビザラインが大きく異なる点は「アタッチメント」と呼ばれる専用のプラスチックの突起を治療期間中に歯の表面に接着して併用する点にあるでしょう。
私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、インビザラインによる数多くのマウスピース矯正治療を行っています。
今回はその器具が果たす役割や注意点について解説しましょう。
インビザラインで使用するアタッチメントとは
インビザラインでの矯正において無くてはならない存在が「アタッチメント」です。名称は聞いたことがあるけど、具体的にどういったものなのかご存知ない方もいるかも知れません。
四角形や円形など様々な形状のものが存在していて、それらはおよそ3~5mm程度の小さい接着材料です。この項では、アタッチメントについて詳しく説明しましょう。
アタッチメントとは何か
インビザラインでの治療を選んだ人は、治療期間中に歯に小さなプラスチック素材の突起物を接着します。これがアタッチメントと呼ばれるものなのです。
歯の表面を研磨してから「エッチング剤」と呼ばれるもので表面を処理し、接着剤を用いてアタッチメントを装着します。
そのような処置を施してもらった歯列を見ると、色々な箇所にこの部品が取り付けられていて、その並びが一定ではない為、不思議に思う方もいることでしょう。この処置は、歯型を採取して3Dデータとして保管し、治療方針をコンピュータが打ち出した時から「どの歯にどういった形状のものを取り付けるか」といったことも算出されているのです。
アタッチメントの役割と効果
インビザラインはマウスピースを装着して歯を動かす治療法です。そこにアタッチメントを加えることで、マウスピースが歯列へと適正な力が加わるようにアシストしてくれます。
インビザラインの治療は段階的にマウスピースを取り替えていく方法になっています。マウスピースから歯に対して、動かす力を適切に作用させるためには、アタッチメントの存在が不可欠です。取り付けることによって、治療が進んでからもマウスピースと歯が密着し、歯に対して所定の方向に動かす力が働き続けるようにしてくれるでしょう。
アタッチメントの装着期間
インビザラインはコンピュータで歯列の動きをシミュレーションし、治療方法を弾き出します。その為、必要に応じてアタッチメントを加えたり、除去したりするでしょう。
つまり、治療の開始から終わりまでずっと取り付けるものではありません。必要に迫られた期間だけ、装着するものであることを覚えておきましょう。
インビザライン矯正用アタッチメントの種類
インビザラインで用いるアタッチメントは、それが何を目的として取り付けているのか判断できないものです。しかし、それらの役割は明確に分かれていて、矯正の補助を様々な角度から行なってくれます。
この項では、それぞれのアタッチメントがどのような役割を果たしているのかについて解説しましょう。
マルチトゥース挺出用
「オープンバイト」といって、歯を噛み合わせても上下の前歯が噛み合わず、開いてしまっている状態を治す為に用います。
歯は「歯槽骨」と呼ばれる歯茎内の骨に埋まっている状態ですが、それを引っ張り出すようなイメージをすると良いでしょう。上顎の前歯4本に取り付けます。
回転用および大臼歯回転用
「回転用」は、前歯から数えて3番目となる犬歯や4・5番目の小臼歯にひねるような力を加える為のものです。歯の表側と裏側に突起物を装着することで、マウスピースだけでは難しい力の加え方を可能にします。
「大臼歯回転用」は、前歯から数えて6番目以降の歯に働きかけるものです。単純に回転させるだけでなく、歯茎内から歯を引き出す「挺出」や、逆に歯茎内に歯を沈める「圧下」という動かし方も出来るでしょう。
過蓋咬合用
上下の歯を噛み合わせた時に、上顎の前歯が下側に対して2〜3mm被る状態が理想とされるでしょう。そして、それよりも噛み合わせが深くなる症状を「ディープバイト(過蓋咬合)」と呼びます。
この症状を改善する為に、下側の小臼歯を歯茎内から持ち上げてくる為に用いるのが過蓋咬合用のアタッチメントです。
それと同時に「バイトランプ」と呼ばれるアタッチメントを上側の前歯裏側に設置します。それにより歯を噛み合わせた際に下側の前歯が当たることで上下の前歯を互いに圧下することができ、症状の改善を目指します。
アンカレッジ用
本来、インビザラインを用いた治療は重度の出っ歯や受け口、叢生には向かないとされています。しかし、それにも関わらず、そのような症状に用いることが出来るアタッチメントが存在しています。
一般的にそのような症状においては抜歯を必要とするのですが、その際に抜かれる歯は前から4番目の第一小臼歯となるでしょう。そうしてできた隙間を利用して歯列を整えるのです。
アンカレッジ用のアタッチメントは、抜歯によって出来た隙間を残った歯列で埋めていく形になるので、残ったすべての歯に装着することになるでしょう。
インビザラインアタッチメントのよくあるトラブル【Q&A】
インビザラインでの矯正治療にあたってアタッチメントを装着したは良いものの、突然のトラブルに見舞われるケースがあります。
長い人生においてアタッチメントを装着するような経験は、めったに無いことでしょう。その為、初めて体験することに戸惑ってしまう患者さんが多いのです。
ここでは、そのようなトラブルについていくつかピックアップし、Q&A形式で解説してみましょう。
Q1:装着による違和感は無いの?
サイズが小さいとは言え、歯に突起物が出来るわけですから、違和感を感じてしまう患者さんが存在するでしょう。また、口内の粘膜を刺激して痛みを感じることも考えられます。
そういった違和感や痛みは2~3日もすれば慣れてしまうものなので、あまり神経質にならないことです。「いずれ慣れることだから」と大きく構えていると良いでしょう。
Q2:アタッチメントが外れてしまったら?
接着剤で取り付けているだけなので、どうしても不意に外れてしまうケースが多いと言わざるを得ません。アタッチメントが外れると、適正な矯正力が働かなくなります。
その為、クリニックで再び処置をしてもらう必要があるでしょう。ただし、あまり緊急の出来事と捉える必要は無く、まずはクリニックに連絡をして、予定の空いている時に足を運ぶくらいの感覚で構いません。
Q3:着色が気になったら?
アタッチメントは樹脂(コンポジットレジン)で構成されているので、着色しやすい飲料を摂取するとアタッチメントに色が着いてしまうケースがあります。一度着色してしまうと、白色にして目立たないようにしている意味が無くなってしまうでしょう。
その為、コーヒーや赤ワイン、緑茶などに代表される着色しやすい飲み物はなるべく摂取しない方が良さそうです。また、ホワイトニングを検討している人は、アタッチメントには効果が無いことを覚えておきましょう。
ユニゾン矯正歯科銀座6丁目なら「インビザライン矯正治療」について相談可能!
歯科矯正の治療方法には、表側矯正、裏側矯正、舌側矯正、マウスピース矯正など様々な方法がありますが、これまでも現在も、矯正治療の初回相談にお越しになる患者さんからは、マウスピース矯正や裏側矯正などの目立たない矯正治療の方法を望む声が多いのは事実です。
私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数々の治療法の経験がありますが、インビザライン社のマウスピース矯正治療は、患者さんご自身が所定の装着時間を守ることができるのであれば、アタッチメントという接着物の効果を活用して、ワイヤー矯正と遜色なく、効率的に歯を動かすことができます。しかも、ワイヤー矯正装置に比べてほとんど目立たないこと、着脱できることが非常に大きなメリットです。
マウスピース矯正が適用できる症例の場合は、インビザライン社のマウスピース矯正を治療法のひとつとして前向きに提案しています。
歯並びを治すことによって、笑顔が綺麗になるばかりではなく、歯磨きがしやすくなり、滑舌やかみ合わせがよくなり、さらに口元の雰囲気や顔立ちまで改善できる場合があります。
自分に自信を持つことができるようになることが多いです。
インビザライン社のマウスピース歯列矯正によって口元の雰囲気や歯並びをどのように改善できるのか、期間や費用を含めて知ることから始めませんか。
ユニゾン矯正歯科では、丁寧なカウンセリングを行ったうえで説明いたします。
まとめ
以上、インビザラインで用いられるアタッチメントがどういったものなのか解説し、その種類を挙げるとともに、起こりがちなトラブルについて説明しました。
歯に加わる力をアシストしてくれる存在によって、マウスピースだけでは実現できない歯の動かし方が可能な点は、この治療法の見逃せない長所です。
患者さんによって症状の重さは変わってきますが、この治療法は比較的重い症状の方にも対応できる懐の深さを持っています。
当院でもインビザラインを用いた矯正を扱っていますので、治療を希望する方はぜひ一度お越しください。
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