噛み合わせが深いデメリットとは?過蓋咬合(ディープバイト)の治療についても解説!
自身の歯列についてしっかりと考えたことのない人は、噛み合わせの状態を「深い」とか「浅い」といった言葉で表現することを知らないかと思われます。
歯を噛み合わせた際に、上顎の歯列が下顎の歯列に対して大きく被さる場合は「噛み合わせが深い」、つまり「過蓋咬合(かがいこうごう)」という症状を引き起こしているのです。
歯ぎしりによって奥歯が平たくなった結果だったり、前歯のサイズが大きい為に噛み合わせが深くなっていたりと、その原因は様々です。
しかし、どのような理由で過蓋咬合を引き起こしているとしても、その症状を放置することはあまりいいことではありません。今回はそのような問題について、詳しく見ていきましょう。
噛み合わせが深い状態とは?
噛み合わせが深い状態のことを「過蓋咬合(かがいこうごう)」および「ディープバイト」と呼びます。その症状を持つ人のなかには「それのどこに問題があるの?」と思われる方もいるかもしれません。
しかしそのままの状態で放置しておくと、顎に負担が掛かりやすい状態が続く為に、顎関節症を発症する恐れもあります。
どういった状態ならば噛み合わせが深いと判断できるのかについて説明するとともに、その原因について考えてみましょう。
過蓋咬合の状態
一般的に歯を噛み締めた際、下の歯に対して上の歯が1/3から1/4の程度で被るのが理想とされています。
しかし、下の前歯に対して上の前歯が大きく被さっていると、それは過蓋咬合だと言えます。が、ひどい状態だと、下の前歯が上顎の歯茎および粘膜に触れてしまうケースもあるでしょう。
場合によっては、上顎が前方へ突き出た「上顎前突」(いわゆる「出っ歯」と呼ばれている状態)や、八重歯の症状を併せて発症していることがあります。
過蓋咬合の原因
なぜこのような状態になるのかというと、上顎が成長しすぎたり、下顎が小さいなど骨格の位置関係に異常が見られるケースが考えられるでしょう。
また、上側の前歯のサイズが大きい場合も過蓋咬合の原因であると言えるでしょう。歯に長さがある為に、下の前歯に大きく被さってしまう為です。
そして、虫歯等で奥歯を失ったことにより、上下の歯を噛み合わせた時に高さが合わなくなり、過蓋咬合の状態になるケースが考えられます。
さらには、日常の習慣として食いしばりや歯ぎしりをする人は、その癖によって奥歯がすり減ってしまい、噛み合わせが深くなるパターンが考えられます。
噛み合わせが深いことのデメリット
噛み合わせが深いことによる弊害は実にたくさんあります。例えば、噛み込みが深い為に噛んだ時の負担が奥歯に掛かるようになるケースです。
その場合、正常な噛み合わせの人と比べてますます奥歯がすり減ってしまう状況が考えられるでしょう。噛み合わせの深い状況を放置すると、その症状がさらに悪化するわけです。
また、下側の前歯が上側の前歯を内側から押し出すことにより、一段と出っ歯の症状がひどくなるケースも考えられます。この問題についても、何かしらの対策をしないことには状態が悪化するのです。
ここでは、他にも考えられる過蓋咬合のデメリットをいくつかピックアップして紹介しましょう。
歯茎の炎症
噛み合わせがあまりにも深いと、下の前歯が上側の歯茎および粘膜に当たってしまい、そこで炎症を引き起こしてしまいます。
単に触れているだけならば大丈夫かも知れませんが、症状の重い人は上側の歯茎および粘膜に食い込んでしまうように下側の前歯が当たる状態となります。その為、歯によって口内が傷つけられてしまうのです。
顎関節症の発症
通常、下顎は前後させることが出来るだけでなく、水平方向で側方にも動かしたりできるものです。しかし、噛み合わせが深いと、上顎の前歯が邪魔をして前方への動きが阻害されるでしょう。
それだけでなく、上側の前歯が下顎を後方へと押し込むように力が加わってしまうケースも考えられます。そうなってしまうと顎関節に負担が掛かり、顎関節症を発症する恐れがあるでしょう。
顎関節症は噛むたびにポキポキと音がしたり、口を大きく開けることが出来なかったりする症状です。ひどいものになると、噛もうとする時に痛みを感じるケースもある為、注意しなくてはなりません。
詰め物や被せ物が外れる
噛み合わせが深いと、歯に強い力が掛かってしまいます。その結果、虫歯治療などで詰め物や被せ物をしていたのに、それらが外れてしまうケースがあるのです。
一般的に虫歯の治療は、適正な噛み合わせの人を前提として行われるものです。その為、治療を終えた後は歯がちゃんと噛み合うか、チェックが行われるでしょう。
しかし、噛み合わせが深いなどの異常がある人は、噛み込んだ時に掛かる力の方向が適切ではない場合が考えられます。その為、詰め物が取れるなどのトラブルが発生するのです。
過蓋咬合(ディープバイト)の治療について
噛み合わせが深い状態を改善する為の治療法としては、まず上側の前歯を歯茎内に沈めていく「圧下(あっか)」という治療法が考えられるでしょう。
そういった治療を施した上で、噛み合わせを浅くする矯正治療を行います。どのような方法で浅くするのか、詳しく見ていきましょう。
どのような治療法になるの?
「ブラケット」と呼ばれる部品をそれぞれの歯に装着し、そこにワイヤーを通して歯列全体に力を加え、歯列を適正な状態に持っていく「マルチブラケット」と言う治療法が一般的です。
一度装着したら装置を外すことが出来ない為、食事や歯磨きに不具合を感じる人も存在しています。また、器具を装着した直後は痛みを感じるなど、患者さんに負担を強いる部分があるでしょう。
「噛み合わせを治す為にそこまでの苦労をしたくない」という方が存在するのも確かです。そういった人に向けては、マウスピースを用いた矯正治療も考えられるでしょう。
この手法ならば、任意でマウスピースを取り外すことが出来る為、食事や歯磨きの時に不自由な思いをせずに済むのです。ただし、1日20時間以上の装着が義務付けられていることを覚えておきましょう。
保険が適用されることもある
歯列矯正は美容目的の治療と考えられている為に、基本的には保険の効かない自由診療の扱いになります。その為、医療費が高額になってしまうことが一般的です。
しかし、厚生労働省が定めた「先天性の病気」であると認められた場合は、保険の適用を受けられることを忘れてはなりません。それらは「美容目的」ではなく「機能の回復」を目的とした治療だからです。
つまり、先天性の病気で噛み合わせに異常があったり、外科手術を必要とする顎の変形が認められると保険が適用されます。その点に留意して治療を検討してみると良いでしょう。
保険の自己負担が3割の患者さんに保険が適用された場合、一般的な矯正治療でおよそ25万円、顎の外科手術を必要とする場合で25~40万円程度の負担で済むので、支払う費用をグンと抑えられます。
まとめ
以上、噛み合わせが深い状態がどういったものなのか紹介し、そのデメリットに触れ、治療法について解説しました。
適切に歯が噛み合わない状態を放置すると、無意識にその不具合をカバーするような癖が身に付いてしまったり、その症状がさらに進行する恐れがあります。
その結果「もっと早く歯科で受診しておけば良かった」といった後悔をする患者さんも数多く存在しているでしょう。
本文中でも触れましたが、この症状の重い人は「機能の回復」という目的で治療を受けていると見なされる為、保険が適用される可能性があります。
当院でも保険が適用できるかどうかの判断ができますので、不具合に悩まされている方はぜひ一度相談にお越しください。
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