歯列矯正で後戻りをしないためには?その原因と正しい対処法を解説!
歯列矯正には「後戻り」と呼ばれる症状があることをご存知でしょうか。この症状を引き起こしてしまうと、長い月日と高額な医療費をかけた治療が無駄になりかねません。
当然のことながら患者さんの口内環境は個人差があって、それぞれにバラツキがあるものですが、矯正治療を受けているすべての人に、この問題は起こり得るのです。
今回は、歯の矯正におけるこの厄介な問題について考えてみましょう。
歯列矯正後の後戻りって何?
皆さんは歯列矯正において「後戻り」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。歯並びを治そうとする人ならば必ず自身について回る問題なのです。どのようなものなのでしょうか。
綺麗にした歯並びが元に戻る
「後戻り」とは、歯列矯正によって歯並びを美しく整えたはずなのに、その後になって歯列が乱れ、ガタガタの状態へと戻ってしまうことを言います。
この症状が起こることを理解するには、歯が動くメカニズムを知っておかなければなりません。歯のなかでも歯根と呼ばれる根っこの部分が歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる土台の骨に埋まっています。
矯正の治療ではそこに力が掛かることにより、動かしたい方向の歯槽骨に隙間ができてそこに歯が移動するのです。そして移動してできたスペースには、新たに骨が生成されて隙間が埋まる仕組みになっています。
矯正が完了した直後は、歯を揺り動かすように力を加えて目的の位置まで持っていった状態です。いわば人為的に理想の歯並びを作り出したので、隙間が埋まっておらず、歯が動きやすい状態なのです。そのことで後戻りが起こりやすいでしょう。
後戻りをしてしまう原因とは
それでは、歯列矯正を終えた時に後戻りを起こしてしまう原因として、どういったものが考えられるのでしょうか。突き詰めていくと、様々な要因が浮かび上がってきます。
保定不足
前述の通り、歯並びを整えた後というのは歯が動きやすい状態です。その為、治療はそこでストップせずに歯をその場で固定するための「保定期間(ほていきかん)」という段階へと移行します。
数ヶ月から長い人で2年ほどの期間をかけて、動かした歯をその場で固定する「保定」の処置が行われるでしょう。
その時に、医師の見立てが甘い場合は十分に保定ができない問題が発生し、後戻りを起こしてしまうケースが考えられるのです。
悪習慣
舌で内側から歯列をグイグイと押すような癖を持っていると、唇や頬肉といった外部から力が加わることで歯列がちょうど良くバランスを保っている状態が崩れることになります。
他にも歯ぎしりをすることで歯列に不必要な力を加えてしまったり、唇を噛むことや口呼吸をすること、さらには頬杖をついたりすることも歯並びを乱す要因になるでしょう。
このような悪習慣を持っている人は、せっかく設けられた保定期間を正しく過ごすことが難しくなり、歯列の乱れを引き起こしやすいのです。
不十分な矯正
患者さんの症状に対してクリニックが打ち出した治療方針にブレがあると、矯正によって得られる効果が薄まることになり、その結果として発症するケースも考えられるでしょう。
例えば、噛み合わせの不具合は骨格のねじれが原因で起因することがよくあります。本来は手術との併用が必要なのに、そのねじれの度合いを見誤って矯正だけで処置すると、治療が不十分といった問題が起こるでしょう。
また、抜歯をして歯を大きく動かす必要があるのに、歯を抜かずに矯正するといった方針の誤りが原因となる場合も考えられます。いずれにせよ、医師の見立てが甘いとこの症状が起こりやすいでしょう。
歯列矯正で後戻りしないために重要なこと
せっかく高額な費用を支払って治療を受けたのに、望んだ結果が得られないことほど悲しいことはありません。後戻りのない歯列矯正を実現するために必要なこととは、どんなことでしょうか。
リテーナーの装着を守ること
保定期間は「リテーナー」と呼ばれる専用の器具を装着して歯を固定します。リテーナーには固定タイプと脱着できるタイプがあるのですが、いずれにせよ保定期間はこの器具と付き合っていくことになるでしょう。
器具の用い方や装着する期間も患者さんによってバラバラです。なかには、保定期間の最初は固定式を用い、段階的に着脱式へと移行するといった場合もあります。
そして、着脱式を使用するに当たっては「装着を怠らない」という患者さんの努力が要求されます。この期間の過ごし方によっては、歯の位置をそこで固める「保定」に失敗することが起こり得るでしょう。
その為「まだ治療は継続している」と肝に銘じて、医師からの指示をしっかりと守るようにし、保定期間も気を引き締めて治療に専念する必要があります。
異常を感じたらすぐに医師に相談を
固定式のリテーナーが不意に外れてしまったり、脱着タイプの一部が破損したりといった問題が発生した場合は
すみやかにクリニックへと相談しに行きましょう。
リテーナーは保定の為に精密に作られているので、故障した状態で使い続けると、まったく効果が出ないため注意が必要です。
まとめ
以上、後戻りという症状について紹介し、それが起こってしまう原因について述べ、発症を防ぐ為に気を付ける点について解説しました。
歯列矯正に数年かかった上に後戻りを防ぐ保定期間が待っていることから、気の遠くなるような想いをされている患者さんもいることでしょう。
残念ながら実際問題として、治療の途中で挫折してしまう方も多い現状があります。
そのような方を生み出さない為にも当院では、一人ひとりの患者さんにしっかりと向き合い、ともに問題に向き合って解決を目指すことをモットーにしています。
歯並びの乱れという悩みを抱えている方は、ぜひ一度相談にお越しください。
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