歯列矯正はやっぱり痛い?どんなときに痛い?痛みの期間や和らげる方法を解説

歯列矯正はやっぱり痛い?どんなときに痛い?痛みの期間や和らげる方法を解説

歯列矯正を考えている人のなかには「痛いから嫌だ」と、なかなか治療に踏み切ることのできない方もいるでしょう。

「100パーセント痛くないか?」と問われると、答えはノーとしか言いようがありませんが、痛みはコントロールすることができます。

また矯正の技術は日々進化しているので、痛みの加減についてもあまりにひどいものは少なくなってきている現実があります。

私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。明らかに治療が必要な、日常生活や対人関係に支障をきたす歯並びや咬み合わせをお持ちの方にとっては矯正歯科治療をすることには様々なメリットがあります。見た目の印象がより良くなるだけではなく、口腔内の環境や体全体にも良い影響があると考えられます。

今回は歯の矯正をする時に生み出されてしまう痛みについて紹介し、どんな時に痛むのかといった点や、痛みを感じた時の対策について考えてみましょう。

そもそも歯列矯正でなぜ痛いと感じるの?

歯列矯正をした時に痛いと感じてしまうのには、大きく分けて3つの理由があります。まず一つ目は、歯が動く際に感じる痛みです。

そしてもう一つの痛みは、歯に一定の力が掛かった状態で食事をするにあたって、食べ物を噛む時に感じてしまう痛みが挙げられます。

最後に、取り付けた装置が口の中に当たることで感じる痛みが考えられます。それぞれについて詳しく解説しましょう。

歯が動く時に発生する痛み

歯茎の内部には「歯槽骨(しそうこつ)」といって、歯が埋まっている骨が存在しています。矯正装置を取り付けると歯に一定の圧が掛かり、その結果として歯槽骨に力が加わることになるでしょう。

そして、そのような力を受けると動かしたい方向の骨が溶けて空間ができ、そこに歯が移動します。移動したことによってできた、元々の歯があった場所は骨で埋まるというサイクルを繰り返して歯が徐々に動くのです。

その際に、痛みを感じる成分が分泌されることで、患者さんが痛さを感じてしまいます。

噛む時に感じる痛み

古くからあるワイヤー型矯正装置は、現在も同じような見た目に感じるかも知れません。しかし、患者さんが痛みを感じるほど大きな力を掛けていた時代と比べて、現在は微弱な力で済むようになっています。

その為、装置による力で痛みを感じるケースはかなり改善されているのですが、装着してしばらくの間は歯が浮いたような感覚に囚われることがあります。

そして、その状態で食事の際に硬いものを噛んだりすると痛みを感じる場合があるでしょう。

口内に装置が当たって感じる痛み

ワイヤー型矯正は、一本ずつの歯に「ブラケット」と呼ばれるワイヤーを通す為の部品を取り付けます。それが口内に当たって痛みを感じることがあるでしょう。

ボクシングにおいてマウスピースを装着するのは、受けたパンチによって歯が口内を傷つけない為のものです。歯は硬いので、外部から受ける衝撃によっては口内を傷つけるのです。

そこにきて、さらにブラケットが付いている為、ちょっと外部から口周りに何かが当たった程度でも傷ついて痛みを感じてしまう場合があるでしょう。

なお、口周りに何かがぶつかったりしなくても、常に口内に装置が当たっている部位があることで、患者さんによっては口内炎ができて痛む場合があります。

歯列矯正の「痛い」を緩和させる方法・対処法について

当院診療風景

歯列矯正で「痛い」という感覚を和らげる方法がいくつか存在しています。先の項目で挙げた3種類の痛みのうち、歯が動く時と物を噛む時の痛みは、歯を動かす為に掛けている力によって生じる問題に含まれます。

その為、痛みの対処法としては「歯に加えられる力」を調節することと「装置が口内を傷つける」ことへの対処法の2通りに分かれるでしょう。

器具による力を弱める

現在のワイヤー型矯正を用いた治療において、歯を動かす為に掛ける力は微弱なもので十分であるとされています。

通院の際には装置の微調整しますが、その時に力が加わりすぎる場合があるでしょう。違和感を感じながら帰宅し、しばらくすると痛みが出てくるパターンがあり得ます。

その為、器具による締め付けで痛みを感じた場合は、医師に相談して掛けている力を弱めてもらうと良いでしょう。それと同時に、いくつかの対処法があります。

ソフトプレート

歯を動かそうとして、力が加わっている状態の時に感じる痛みには、歯を強く噛み締めることで、痛みを軽減させられる場合があります。その際に用いるのが「ソフトプレート」と呼ばれるアイテムです。

樹脂でできていて弾力性があるのですが、これを噛み締めることによって痛みを和らげることが期待できるでしょう。

形状記憶型のワイヤー

ワイヤー自体を形状記憶型のものに切り替えることも、一つの手段です。一般的なワイヤーに比べて締め付け感が少なく、適切な力を加えられます。

ブラケットが当たることの痛みには…

ブラケットそのものが硬い物質であることが、痛みの原因になるでしょう。ですので、カバーのようなものを被せる方法によって問題を解決します。そして、そのカバーにはいくつかの種類があります。

自身に合うものをセレクトすることが大切になるでしょう。

医療用ワックス

ワックスの他にもシリコーン製のものや「デュラシール」と呼ばれるものがあります。粘土のようなものでブラケットをカバーするもので、一定量を塗布して用います。

シリコーン製よりはワックスが、ワックスよりはデュラシールが剥がれ落ちにくいとされています。「これは自分には合わないな」と思ったら、別のものに切り替えてみると良いでしょう。

リップガード

文字通り唇を守る為のもので、ワイヤーに挟み込むように装着することで装置の凹凸をなくし、唇が痛むのを防いでくれます。

歯列矯正の中で痛みを感じない器具はあるの?

当院風景

実際のところ、痛みの感じ方は患者さんによってバラバラなので、それぞれに合った治療法を選ぶことが歯列矯正で「痛い」と感じさせない為の大切なポイントになります。

この項では、痛さを感じない器具というものが存在するのかについて、考えてみましょう。

インビザラインでの治療

「インビザライン」とは、マウスピースを1日22時間以上に渡って装着することで、歯に微弱な力を加えて矯正する方式です。透明の樹脂製で目立たないことに加え、取り外しができることで人気を集めています。

段階的にマウスピースを取り替えながら少しずつ歯を動かして、最終的に目指している歯列へと近づけていく為、痛みが少ないとされています。

自身に合った治療法がある

ワイヤー型矯正による器具に違和感や痛みを感じることなく、治療を終えることができる患者さんがいる一方で「どうしても馴染めない」という声をいただく場合もあるものです。

そういった患者さんの為に、同じワイヤー型矯正装置でも痛みに配慮したものがあったり、マウスピース型矯正という別の治療法が存在しています。

「自分に合う治療法は必ず存在する」という認識を持って、医師とすり合わせを行えば、最適な治療を受けられるに違いありません。

 


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まとめ

以上、そもそも歯列矯正で「痛い」と感じる原因について考察し、それを緩和する方法について紹介してきました。

また、痛みを感じにくい器具の存在についても解説することで、現在では自身に合った治療法の選択肢が増えていることを示しました。

患者さんが訴えることを受けて、改善策を提示できるクリニックのお世話になっていると、治療を途中で投げ出す確率を大きく下げることができるでしょう。

当院では、一人ひとりの苦痛にしっかりと向き合って、最後のゴールまで辿り着けるようにしっかりとサポートする体制ができています。痛みに不安を覚えている方は、ぜひ一度、当院まで相談にお越しください。

                                 

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