歯列矯正を大人になってから始めるのは危険?必要性やメリットも併せて解説

歯列矯正を大人になってから始めるのは危険?必要性やメリットも併せて解説

歯並びが悪いことにコンプレックスを抱いたまま大人になった人はたくさんいます。そういった人が歯列矯正を行うにあたって「痛そうで怖い」といった先入観を持っている場合もあるでしょう。

そういう方に対しては、カウンセリングなどを通じて「正しく怖がることの大切さ」を説くように心がけています。

治療の危険性や、注意すべきポイントを知識としてしっかりと吸収してもらうことで「正しく怖がる」ことが可能になるでしょう。そうすることで、不必要に怯えることがなくなるのです。

私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。以前ほど、歯列矯正をしていることが恥ずかしいことではなくなってきています。大人の歯科矯正は身近なものになってきています。歯列矯正をしていることを自信をもって発信する著名人も増えています。「綺麗な姿になろうと努力する女性は魅力的」「美意識が高く、美しい歯並びのために自己投資できることは他人に対して誇れること」といった価値観が生まれてきています。

今回は大人が歯列矯正を始めるにあたっての危険性について説明し、施術を受けることによるメリットや必要性を紹介したいと思います。

大人になってから歯列矯正をする際の危険性・注意点とは

当院診療風景

「歯並びを良くしたい」と大人になってから歯列矯正を考える人はとても多いです。その際に押さえておくべき危険性や注意点とは、どういったものなのでしょうか。

強く固定されている歯を動かすリスク

大人の歯は強固で動かしづらい場合があり、目的の歯を動かしたいのに別の歯が動いたりと、狙い通りにいかないことがあります。

このようなケースは、歯を動かそうと無理な力がかかっているのが原因であることが多いです。

思い通りに動いてくれない歯に対しては、むしろ慎重さが要求されるので、丁寧に調整を重ねていく必要があります。

また、歯が強く固定されていることから、治療が完了するまでの期間が長くなってしまう場合があります。「途中で嫌気がさして治療を中断した」という事例もあるでしょう。

知覚過敏を発症する可能性がある

不慣れな装置を装着することから「口の中を清潔に保ちたい」という気持ちが強くなり、必要以上にブラッシングで力を入れてしまうとトラブルの原因になります。

磨きすぎて歯の表面を覆っているエナメル質まで落としてしまい、水などがしみて痛い知覚過敏になってしまう恐れがあります。

このトラブルはまれに見受けられるものなのですが、ブラッシングの力加減を控えめにして数日様子を見ることで痛みが和らぐことも多いです。

他に考えられるリスクとは?

歯茎の中に埋まっている歯の根の部分のことを「歯根」といいます。歯列矯正では歯を揺さぶるようにして動かしていくので、治療の過程で歯根が吸収されて短くなる「歯根吸収」という症状になる危険があります。

逆に歯根を包み込んでいる歯茎が痩せて、歯根が露出してしまう「歯肉退縮」という症状が起こることもあります。冷たいものがしみたりして苦痛に感じることでしょう。

また、ブラケットを装着することによって、食べかすやプラークがたまりやすくなったり、ブラッシングがうまく出来なくなるので、意識して歯磨きを丁寧に行う必要が出てきます。丁寧なブラッシングを怠ると虫歯になってしまう患者さんもいます。

矯正による副作用について

装置を装着し、歯に動かす力をかけることで一時期痛みを感じる場合があります。「こんなに痛いものなの!?」と驚かれる方もいるかも知れませんが、次第に慣れていき数日で収まるでしょう。

また、唇側から装置を装着すると、ブラケットが当たって口内炎になる可能性があります。その場合、ブラケットが当たらないようにカバーを付けて対応します。

さらに、金属アレルギーを持っている患者さんは、金属製のワイヤーに触れることでアレルギーの症状が出てしまう危険があるでしょう。その場合はマウスピースなど、他の方法で矯正を行います。

そして、人によっては、一時期、口の開閉がしづらくなったり、口を開閉するたびに顎の骨がポキポキ鳴ったりする顎関節症を発症する可能性もあります。治療の過程で起こることがありますが、自然に治っていくケースがほとんどです。

大人が歯列矯正で通うべき矯正歯科とは?間違ってしまうと危険?

当院診療風景

世の中に矯正歯科はたくさん存在していますが、避けた方が良いクリニックが結構な割合で混ざっている現実があります。

以下に挙げる点に注意して「ここなら大丈夫」と自信を持って思える矯正歯科を見つけられる目を養うようにしましょう。

自身の口内環境に合わない治療法を勧めてくる

例えば、歯を動かすスペースが少ないために抜歯が必要だったり、歯並びがかなり悪いために大きく歯を動かす必要があるのに、なんでもマウスピースでの矯正を勧めてくるところは避けましょう。

マウスピース装置はワイヤー装置に比べて見た目がよく、また取り外しができるため食事や歯磨きに不便さを感じませんが、抜歯でスペースを大きく取った場合や、極端に歯並びが悪い場面では効力を発揮させることが難しいとされています。

マウスピースでは治療が難しい症例だとしても、カウンセリングの場でそのことを十分に説明もしてくれずに、すぐにマウスピースでの矯正をすすめるのは、マウスピース矯正に適した症例、適さない症例の見極めに関する歯列矯正の知識が足りていない恐れがあります。

このように、自身の歯の状態をキチンと説明してくれない歯科や「なぜその装置を使うのか?」という問いに答えてくれないところでは、施術を受けないようにしましょう。

ホームページの謳い文句に要注意

治療を受けようと考えた時に、まずはインターネットで情報収集をするかと思いますが、安直な表現でお茶を濁している矯正歯科には注意が必要です。

「完璧に安全な施術をします」「当院を利用した患者さんの満足度〇〇%」などといった表現は、虚偽に当たる可能性があります。

これは、厚労省が発表している「医療機関ホームページガイドライン」で決められた規定を遵守していないことを意味します。

集客のためとあらば、簡単にコンプライアンス違反をするような矯正歯科は、技術力や知見などを欠いていて、根本的に信頼できない存在と考えられるでしょう。

歯列矯正を行うことで大人が得られるメリットとは

当院風景

ここまでの内容を把握してもらえれば、注意点は理解できたことでしょう。それらを知ってもらった上で、なお、大人が矯正治療の施術を受けることで得られるメリットはたくさんあるといえます。

どのようなメリットがあるのか提示してみたいと思います。

美しさが得られる

歯並びが綺麗になることで、人前で安心して弾けるような笑顔を出すことができます。口元にコンプレックスがあり人前で口を開けて笑顔になれなかったこれまでの悩みが解消するでしょう。

また、横から顔を見て、鼻先から顎の先端を直線で結んだラインに対し、上下の唇がそのライン上、もしくはラインの内側に収まっている理想的なバランスが手に入ります。

このように、歯並びを治療することで顔の輪郭が整うため、美的センスを追求する患者さんの欲求を満たすことが可能となります。

口の中から健康になる

歯並びが悪いと歯磨きのブラッシングが届かない箇所が出てきたりして、そこから虫歯や歯周病になったりと、良いことがありません。

これを改善することで、口の中を清潔に保てるようになります。また、これまで顎の関節や筋肉に過剰な負担が掛かっていた患者さんは、その状態から解放されるでしょう。

噛み合わせなどの機能が向上

上下の歯がうまく噛み合わないために、食事などに不便さを感じてきた人も多いでしょう。治療によって噛み合わせの不良を改善させることができ、食べ物を噛む行為が快適になります。

また、発声・発音というものに歯並びは大きく影響しているので、これを正すことにより聞き取りやすい発音だったり、良好な滑舌が得られるでしょう。

コンプレックスを克服し内面も美しく

歯並びのことで悩んでいたことの多くが、治療を受けることで解消される可能性があります。精神的な面においても良い効果が得られて、悩みが大きかった人ほど心の底から喜びを感じられるでしょう。

 


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まとめ

以上、大人が歯列矯正を受けるにあたってのリスクについて説明し、避けるべき矯正歯科の例を挙げた上で、施術を受けることのメリットについて述べてきました。

あらゆる医療行為にはリスクやデメリットが必ず存在します。「大人だから危険」と即座に反応するのは間違っているということを分かっていただきたいのです。

その観点に立った上で、クリニック選びなどでリスクヘッジをしていけば良いでしょう。

当院は日本矯正歯科学会から認定医として認められており、安全かつ適切な医療の提供を目指して日々研鑽を積んでいます。悩んでいる方は是非一度相談にお越しください。

                              

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