歯列矯正のワイヤー矯正にも種類がある!マウスピース矯正とどっちを選ぶ?
「ワイヤー矯正」という言葉を知らない人でも、歯列矯正と聞けば「あのゴツい装置を口の中に着けてる…」と想像できるように、その存在を知らない方はいないと思われます。
それだけ一般的で幅広く普及している治療法なのですが、施術を受けた経験のある人以外は「何をしているのかイマイチ分からない」といった感想を持つ方も多いことでしょう。
私は日本矯正歯科学会の認定医・指導医として、数多くの矯正治療を行っています。
今回はワイヤー矯正についての様々な角度から話をします。正しい知識を身につけることで、歯列矯正をより身近に感じてもらえれば幸いです。
歯列矯正のワイヤー矯正ってどんなもの?
歯列矯正を考えた方は「ワイヤー矯正」と呼ばれる方式について検討したことがあるかも知れません。歯を矯正する時に必ず一度は候補として出てくる治療法と言って良いでしょう。
最も一般的に普及している
現代において歯並びを治す方法は、多くの種類が揃っています。しかし、元をたどっていけばこの矯正のやり方に行き当たることでしょう。
それくらいこの治療法は、一般的に普及しているものであり、ベーシックな存在だと言えるのです。そのことはつまり、この方法を利用して矯正した患者さんがとても多いことも意味します。
この施術法を用いて治療した症例が多いだけに、技術としても成熟したものになっていて、幅広い症状に適合することも大きなポイントと言えるでしょう。
どのような仕組みになっている?費用は?
この矯正方法の原理は非常にシンプルです。まず、ブラケットと呼ばれる部品を一本ずつの歯に取り付けます。その部品には小さな穴が空いていて、そこにワイヤーを通すことで歯列全体に力が掛かるのです。
これはつまり、動かしたい歯に対して、動かす必要のない歯を力の掛かる支点として利用することになります。その為、お互いに力が加わることになるので、目的の歯だけでなく、その他の歯も相対的に動くでしょう。
矯正歯科医はそのことが分かった上でこの装置を用いています。通院の度にワイヤーで加える力を微調整をして、目的とする歯並びへと上手に持っていくのです。
かかる費用は部分的な治療をする場合で約22万~85万円、歯列全体を矯正する場合で約85万~160万円となっています。
マウスピース矯正との違いは?
最近ではマウスピースを用いた矯正がとても人気を集めています。それが選ばれる最大の理由は「目立たない」ということと「取り外し可能」ということでしょう。
透明の樹脂製なので矯正をしていることがバレにくく、食事や歯磨きの際には取り外すことができる為に口内を清潔に保つことができます。
しかし、幅広い症状に対応できるワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正が用いられるケースは限定的だと言えるでしょう。その為、マウスピースでの治療を希望してもそれが叶わない患者さんも多いです。
ワイヤー矯正の種類と特徴を紹介
この矯正方法の種類はいくつかに分かれています。先の項で述べた「一般的に普及している」手法というのは「表側矯正」といって歯の表側、つまり唇側から装置を取り付ける方法のことです。
その他の種類についても順番に紹介していきましょう。
裏側(舌側)矯正
歯の裏側、つまり舌側にブラケットを装着する手法になります。すべての部品が歯で隠れる為に、装置が目立たないという利点があります。
しかし、歯の表側に比べて表面の凹凸が大きい為に、ブラケットがピッタリと密着するように形状を整えるには高い技術力が必要とされるのです。
その為、装置代として支払う費用が高くついてしまうことを覚えておきましょう。
ハーフリンガル矯正
笑顔になった時に最も目立つ歯というのは、上顎の前歯ではないでしょうか?逆に下顎の歯はそれに隠れてあまり目立ちません。
このことを利用して上顎の歯列は裏側矯正をしつつ、下顎の歯列には表側から矯正をする「ハーフリンガル矯正」という手法も存在しています。
受け口の症状がない人ならば、舌先がまず触れるのは下顎から生えている歯でしょう。ハーフリンガル矯正では、下の歯は表側矯正になっているので、舌が装置に触れにくいという利点もあります。
また、ブラケットを装着する大変さが半減する為、すべてを裏側矯正にするよりも費用が安くなることを覚えておきましょう。
部品自体を目立たないものにできる
一昔前まではこの矯正で用いる装置は金属製でした。笑顔で歯が出る度に、鈍く光る銀色の装置が目立って仕方なかったのですが、今では部品に工夫が凝らしたものも用意されています。
例えばブラケットは透明のプラスチックでできたものや、白色のセラミック製のものなどがあります。歯が透けて見えるか、歯と同色とすることで「目立つのがイヤ」という患者さんの悩みを改善しています。
ワイヤー自体も白色に塗装したものや、素材自体が白色の金属製のものなどが用意されているので、ブラケットと併せてセレクトすれば、かなり目立ちにくくなるでしょう。
このことにより、表側矯正でも装置の存在に気付かれにくくなっています。クリニックとよく相談をして、最適な治療法を見つけ出しましょう。
歯列矯正でワイヤー矯正を選ぶメリット・デメリットとは
幅広い症状に対応することから「歯列矯正ならワイヤー矯正にしておけば問題ナシ」と思われるかも知れませんが、デメリットも存在するものです。どのような長所と短所があるのか見てみましょう。
メリットとして考えられるものは?
メリットとして第一に挙げられるのは複雑な歯列をしている患者さんでも、美しい歯並びへと治していける懐の深い治療法であるという点でしょう。
また、先ほどは裏側やハーフリンガルを含むすべてのワイヤー矯正での治療費を紹介しました。これを標準的な表側矯正だけで考えると、その上限額をおよそ100万円といった辺りまで下げることができます。
最後に、一度装着すると取り外せない為、自身で装置を着脱する面倒がありません。常に安定して歯に力が加わっているので、医師任せで済ませられる点もメリットと言えるでしょう。
デメリットも知っておきたい
歯に力をかけることから、痛みを感じる患者さんも存在しています。それでもピークは2~3日間で一週間もすれば引いていくでしょう。
また、装置自体が大掛かりなので、装着当初は異物感を感じることも。そして、口内にブラケットが接触することなどにより、口内炎ができてしまったりするケースもあります。
さらに、食事をした際に食片が装置に引っかかってしまうことも。虫歯や歯周病の原因になるため、口内を清潔に保つ必要があるのですが、装置が歯磨きの邪魔になるなど、手入れの大変さがあるでしょう。
ユニゾン矯正歯科銀座6丁目なら「歯列矯正の治療方法と治療装置」について相談可能!
歯並びを治すことによって、笑顔が綺麗になるばかりではなく、歯磨きがしやすくなり、滑舌やかみ合わせがよくなり、さらに口元の雰囲気や顔立ちまで改善できる場合があります。
自分に自信を持つことができるようになることが多いです。
治療中の装置は、いくつかの選択肢の中から、なるべく目立ちにくい装置や材料を選ぶこともできます。
どのような治療方法や装置を選択することが可能なのか、歯並びをどのように改善できるのか、期間や費用を含めて知ることから始めませんか。
ユニゾン矯正歯科では、丁寧なカウンセリングを行ったうえで説明いたします。
まとめ
以上、歯列矯正で用いられるワイヤー矯正とはそもそもどういったものなのか紹介し、いくつかのバリエーションがあることを説明しました。
また、メリットとデメリットを解説することで、これから矯正しようと考えている人の参考になったとすれば、大変嬉しいです。
この治療法は古くからあるものながら、部品の素材が良いものに変わったりと、未だに進化を続けていて、医師にとっても頼りになる手法だといえるでしょう。
現在では歯にかける力も微弱なものへと変わってきており、患者さんへの負担も軽減されているので、矯正を考えている人は検討してみてはいかがでしょうか?
歯列の悩みをお抱えの人は、ぜひ一度当院へと相談にお越しください。
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